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タイトル名 |
マチネの終わりに |
レビュワー |
TANTOさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2020-12-10 00:37:41 |
変更日時 |
2020-12-10 00:37:41 |
レビュー内容 |
かなり前に書籍の方を読み、映像化されているのを見て鑑賞することに。小説で読んだときはタイトルさながら、アーティスティックでおしゃれな話という印象ばかりが残っていましたが、映像の方を見るとおしゃれな感じは残しつつもとても人間的で、リアルな恋愛劇だと感じました。
自分はあまり音楽には詳しくありませんが、ギターのコンサートとはこんな感じなのでしょうか。TVで聴いているとは思えない、とても落ち着く、心地よい音色でした。そんな優しいギターの音が終始バックグラウンドで流れているんですが、そこで起こっているドラマは何とも人間的で、40代同士の男女とは思えないくらい我を失いお互いを求めている姿は、上述のようにとてもリアルで良かったです。 ふとした出会いから始まる道ならぬ恋を何とか成就させようと奔走する二人と、それを見事に妨害し薪野を取り戻したマネージャー。←この一文だけ見たらどこかでよく見るドラマのようなのですが、彼らの世界観と音楽がそれを上質なものにしてくれているように感じます。ですがやはり、あそこまで求めていた二人が引き裂かれてしまうシーンは胸が張り裂けそうになりました。ラストシーンで、ようやくお互いに誤解も解けて再び会えた二人はどうなるのか、どうにか幸せになってほしいと強く思いました。
個人的にたくさん考えさせられるシーンもありました。洋子の相棒カメラマン・ジャリーラが興奮して何を言っても激昂するばかりだったのを落ち着かせたギターの音に、音楽って言語を超えるんだなと思ったり。「未来が過去を変える」この言葉も、確かに実際にそういうことが起こるよな、と考えさせられました。その他にも、 「孤独とは影響力を失うこと」 「寄り添って、分かってくれた」 など印象に残りました。
決して冷静に格好よく振舞うだけが大人の恋愛ではないと思います。『マチネの終わりに』は作風こそスタイリッシュですがそこで描かれる恋愛模様はほんとに泥臭く、だからこそ共感できました。40代近くにもなってまさか今更自分がそんなことになるなんて、と劇中の二人も思ったことでしょう。でもなってしまったことは仕方ない。冒頭で「走ったら幸せが逃げてしまうわ」と言っていた洋子がラスト、全力で走って蒔野のコンサートに向かう様は、見ていて気持ちよかったです。 |
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