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タイトル名 |
皇帝のいない八月 |
レビュワー |
一般人さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2005-07-13 03:21:48 |
変更日時 |
2006-05-20 04:08:39 |
レビュー内容 |
この映画は多感な時に観たからでしょうか。相当印象に残っている映画で封切りの時に見てその後20年ぐらいした時にもう1度見ました。話は変わりますが私の年代ってシラケ世代とかって言葉で括られておりまして70年安保以後に青春時代(と言っても未だに実感は湧きませんが)を過ごし世の中に対して無関心で無気力なのがカッコ良いと言われてた時代でした。
この映画は一見右翼賛美の様に勘違いしますが 内容は極右思想に感化されクーデターにまで至る若い青年将校やそれに扇動されて行く兵士の狂気を描いています。 基本的に平和の尊さを~とゆうまあ、建前のみは従来の日本でよく作られる自虐戦争映画の手法を取っているかに見えますが ところがこの作品はそうじゃ無い。 それを覆すべく全編非常に刹那的に描かれていてしかも淡々とクーデターが進行して行く。 それがかなり怖かったですね。また吉永小百合が良かったです。女の情念を見事に演じていました。
またこの映画ではそれまで邦画では余り描かれて無かった政治的な謀略や 事後処理の悪しき裏工作などがもうこれでもかと言うぐらいにテンコ盛りに出て来ます。 反乱軍の首謀者である青年将校は特急桜(笑)を乗っ取り自分の意とする所を時々激しながらも陶々と乗客に語ります。 彼の言い分は確かに滑稽では有りますが 今と成っては作られた平和主義に浸りきった乗客達もかなり滑稽ですね。それを象徴的に描いている。
まあ、陳腐な手法や稚拙な演出なども確かに有りますが それまでの戦後の日本映画と言いますと文芸作品か戦争自虐作品しか作れなかった当時にあって これだけのメッセージ性を盛り込んだのはかなり画期的な事だったのではないかと思います。
また最後も非常に悲劇的で逆に当局のずるさと悪逆さを曝け出して 主人公達がそれにより昇華したかの様なラストでした。玉と砕けても全き瓦として。。。ですか。 いや、賛否有るかと思いますが私は嫌いでは無かったです。 少なくとも彼等は彼等自身で考えた理想を実現しようとして事を起こした。 それまでの旧軍酷悪に元付く自虐戦争映画と違うだけでこれだけ受ける印象が違うのかと思いました。
当時の不評もやはり時代が早すぎたとゆうかなんとゆうか。 作り方が偏屈だったからでしょうね。建前と本音の違う映画って事で。 ただ繰り返しますが私はこうゆう味付けは好きです(笑) |
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