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タイトル名 |
シン・ゴジラ |
レビュワー |
TERRAさん |
点数 |
3点 |
投稿日時 |
2018-02-22 15:23:39 |
変更日時 |
2024-05-16 21:09:19 |
レビュー内容 |
世間様より1年半ばかり遅れて、ようやく『シン・ゴジラ』を観た。 …………う~ん。これ、政治コントとしては面白かったけど、ゴジラ物としてはどーなの?
何をするにも対応が遅く、総てに於いて後手後手に回るこの国の政治をおちょくるコメディとしては、錚々たる顔ぶれが大真面目にバカやってるという点で面白さはあった。ただ、それもよく有ると言えばよく有るアプローチで、とくに目新しさは無い。 と言うか、それ言いたいだけだったら、何もゴジラである必要ないよね?
一応、今回のゴジラも、各国が不法に投棄した核廃棄物を食べた未知の生物ということなんだが、この『シン・ゴジラ』、ゴジラが現れて右往左往する人間に焦点を当てすぎたために、とても出番が少ない。 なんだか間抜けな顔をした幼体がゾゾゾゾゾ~と這い回り、いつの間にか立ち上がってゴジラになってた。そしてそのゴジラは、なんかただノシノシと歩いてる。どこへ行きたいのか、何のために上陸したのか、その解釈も提示されず、ただノシノシと歩くゴジラに右往左往する政治家たち――――という構図で話が流れていく。そう。話が進んでいくのではなく、話が流れていく。 実際、作中でも高橋一生演ずる役人が「ただ歩いてるだけなんですけどね」と3回ぐらい言うんだな。 別に故意に街で暴れるわけでもなく、自衛隊に攻撃されて、降りかかる火の粉を払ったら街が壊滅状態に……、みたいな感じ。ただ移動の途中に街があるから壊れてしまう。つまりゴジラが、恐るべきモンスターと言うよりは、台風や地震などの迷惑な災害といった扱いに見えてしまう。これでは「じゃあ、しょうがないよね」ってなモンで、そこに核に対する反省などは生まれにくいわな。
そして後半。いやはやなんと好都合なことにも、ゴジラが都心でパッタリと動きを止めたではないかぁぁぁっ! …………おいっ! そして、その止まったゴジラを攻撃する手段が奮っている。JR各線の電車および新幹線の車両に爆弾を積んでゴジラにぶつけるのだ! ……何のためにっ?! 自衛隊のミサイルや砲撃を物ともしなかったゴジラへの攻撃法が、鉄道車両を使った特攻?! 頭や胸元にガンガン砲撃されても平気だった怪獣の足元に、せっかく壊されずに済んだ電車にわざわざ爆弾積んでポンッ! って? もう、全く意味わからん。JR、断れよ。16両編成の新幹線1本で何憶すると思ってんですか?! って。w しかも、丸の内の高層ビルを爆破してゴジラを押し倒し、その口にクレーンでホースを突っ込んで血液凝固剤を飲ませようという『やしおり作戦』。ゴジラが放射能炎をブワッと吐いたら「第一陣、全滅ですっ!」って……。こらぁーっ! そんな反撃、簡単に予想できるだろーが。www ゴジラにしたら、足元でポンポン爆弾が爆ぜるわ、ビルが崩れて伸し掛かってくるわ、コケたら口にホース突っ込まれてワケの分からん液体飲まされるわ……、そりゃ炎も吐くって。第一陣で死んだ作業員の家族に、なんて言い訳するんだろ?w
ずっと以前に、『エヴァンゲリオン』のTVシリーズを、知り合いが「あれは面白い。独特の世界観があって面白いっ」と褒めるから見てみた。世間的にもムーヴメントと言って良いほど話題になった作品だし、まあ見といて損はないかと。で……、まあ特に「コレはっ!」と言う程面白くはないが、ま、それなりに普通のロボット物じゃん? と思って見てたんだ。25話までは。そして迎えた最終回を見て、ひっくり返ったね。「なんじゃ、こりゃぁ?!」
あ、そうなんだね。庵野秀明という人は、広げた風呂敷を畳めない人なんだね。広げるのはそこそこ上手いんだが、畳むことにかけちゃ素人並みと言うか、逃げも辞さないと言うか。
ともあれ、この『シン・ゴジラ』。国内では(庵野マニアのおかげで)それなりに当たったのに、あれだけゴジラ好きな海外のファンには掠りもしなかったという事実が、ゴジラ作品としての質を語ってるんじゃないでしょうか。 確かに、石原さとみは可愛いよ。でも、さとみちゃんを見たけりゃ他にもっと可愛く撮れてるドラマがいっぱいあるから。ゴジラファンの(庵野ファンじゃないよ)観客が見たいのは「さすがガッズィーラ、神の化身ね」などと憂い顔で宣うさとみちゃんでもなければ、政治コントでもなく、益してや腹が減って動けなくなったゴジラでもない。何喰ってんだか知らないが、元気に暴れまわる恐い怪獣ゴジラなのよ。 |
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