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タイトル名 |
シャイニング(1980) |
レビュワー |
anemoneさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2003-12-07 14:06:57 |
変更日時 |
2003-12-07 14:06:57 |
レビュー内容 |
映画と小説は別、なんてキレイごとは言っていても、なんとなく中途半端に原作と繋がってしまっている映画が多い中で、映画が原作を離れて独り立ちした非常に稀少な作品。まあキューブリックはこれが多いが。原作のエピソードをそのまま使っている部分もけっこうあるわりに、原作の意図したところと完全に別の方向に向かっちゃっているあたりは、あっぱれと言うより他にない。原作もコワイが映画も立派にコワイ、なおかつ両方のベクトルが全然別の方向を向いているのはスゴイ。だいたいキューブリックという人はかなり茶目っ気のある人で、折々のトップスターを主役に持って来て話題騒然なテーマをぶつけて来る遊び心たっぷりな監督であるわりに、映画が独特の重厚感を持ってズシンと迫って来るギャップが凄いんだけど、たぶんこの作品も「ジャック・ニコルソン主演でホラー映画を撮っちゃおう」という楽しいアイデアから出発したはず。斧持って走り回るジャック・ニコルソンはとてつもなくおっそろしいし、逃げ回るタリア・シャイアの表情もおっそろしい。無表情な双子が放つ「Hello, Danny.」は当時ちょっとした流行語になるほどコワかったし、「REDRUM」はアマチュアバンドのバンド名として引っ張りダコになった。とにかく冒頭、コロラド山脈をのろのろと登って行く黄色いフォルクスワーゲンひとつであれだけコワイというのは既に名人芸と言って良いだろう。ワケもわからず巻き込まれるスキャットマン・クローザースの存在感も無駄にコワイし、キューブリックがホラーをとことん笑った映画と考えればこれは傑作の域に入るのではないか。 |
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