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タイトル名 |
イリュージョニスト(2010) |
レビュワー |
あにやん🌈さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2011-04-23 00:29:44 |
変更日時 |
2011-04-23 00:31:16 |
レビュー内容 |
アニメーションとしての表現力はとても高いレベルにある作品です。ロートレックみたいな美術世界の中で登場人物一人一人に与えられた個性が生命感に繋がってゆく、その繊細で丁寧な仕事っぷりに感嘆。背景やオブジェクトに使用されているCGがヌルヌルと滑らかに動き過ぎるので、デジタル感を醸してしまってはいるものの、作品の世界そのものの色は決して損なわず、キチンと統一されたものになっています。でも、その高い表現力を以って描かれるのは「いかにジャック・タチたり得るか」というもので。もう、そのままタチの映画を見ているような錯覚すら抱いてしまいます。新しいものが入り込んでくる事で、古き良きものが失われてゆくという、『ぼくの伯父さん』に通じる笑いとペーソスに溢れた物語なのですが、果たしてそれでいいのでしょうか? 今、この時代この世界に、タチが遺したものをなるべくイメージを壊さないように表現する事が必要なのでしょうか? そこがどうにも疑問に思えてしまって。劇中に登場する映画館にかかっている映画が『ぼくの伯父さん』で、事もあろうに実際の本編映像まで流すという無粋な事をしてしまった時点で、もうタチを越えようとする気などさらさらないと限界を宣言しているようで。表現の点においてはタチに到達する事を掲げて上げたハズのハードルが、作品を受け止める観客にとってはタチは越えないという言い訳になってしまっているという、ちょっと残念な状態。せっかく素晴らしい表現力を持っているのだから、その力をもう少しだけ未来方向に伸ばしてみせて欲しかったと思います。 |
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