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タイトル名 |
リップヴァンウィンクルの花嫁 |
レビュワー |
あにやん🌈さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2016-04-06 15:44:44 |
変更日時 |
2016-04-06 15:52:45 |
レビュー内容 |
嘘とフェイクに溢れた世界でリアルな生を追い求める、けれどそれを求めている者自身が嘘とフェイクばかりで構成された存在なのかもしれず。
わりと最初の方、結婚式のシーンあたりから映画にのめり込んで、あっという間の3時間が駆け抜けてゆきました。 嘘とニセモノばかりで飾られ、組み立てられた結婚式、その切なさ、悲しさ。ジェットコースターのような展開の前半、騙され何もかも失ってしまうヒロインは、中身の無い、カラッポな存在。
黒木華がとてもいいです。自分というものがまるでなく、ホワホワとクラゲのように漂い、流され、無防備に堕ちてゆくその姿は、本来ならば「もう少ししっかりしろ!」とイライラしてきそうなキャラなのですが、儚げな佇まいで「そういう生き方になってしまうのも仕方のない、弱い女性」を完璧に創造しています。
その彼女がホンモノの存在へと変化してゆく、本物こそが生の実感を得られるのです、みたいな教訓めいた話ではなくて、映画の後半は本物でなければならない意味なんてない、嘘や偽物の中にも価値のあるもの、かけがえのないものがある事を優しく描いてゆきます。 ヒロインとは対照的に強烈な存在感のCoccoは何もかも嘘とフェイクで作られた世界のお城に住むお姫様。お金の力を借りたお伽話ごっこの中に存在する、かけがえのないもの。
見ていて、そうか、コレは自分が好きな「人間になりたい、なれないロボットの物語」なんだ、だからこんなに響いてくるんだ、って。岩井俊二版『オズの魔法使い』は、登場人物がブリキマンばかり。
世界と他人と自分の実体を見つけられない人々に「この世界は嘘とフェイクばかりだけれど、だからこそ素晴らしい世界なんだよ」と優しく語りかけてくる映画でした。そう、映画ってモノが嘘とフェイクばかりで作られていて、その中に世界があって心が宿るように。 |
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