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タイトル名 |
舞妓はレディ |
レビュワー |
イニシャルKさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2016-05-07 17:59:49 |
変更日時 |
2016-09-25 13:14:08 |
レビュー内容 |
周防正行監督が「シコふんじゃった。」以来、久々に手掛けた青春映画で、「マイ・フェア・レディ」を下敷きにひとりの田舎臭い少女が京都で一人前の舞妓になるまでを描いている。周防監督がいつか「シコふんじゃった。」と対になる青春映画を作りたくてようやく実現した映画だというが、男性だけの世界である相撲に対して女性だけの世界である舞妓に目をつけるのは着眼点がいい。ミュージカル仕立ての映画で、そこはまさしく「マイ・フェア・レディ」を意識しているようで、何よりもまず、見ている人にこの映画を肩の力を抜いて楽しんでほしいという周防監督の思いも感じられ、最近は社会派映画も手掛けているが、やはりこの監督は硬派な社会派映画よりもこういった軽い感じの娯楽・コメディー映画のほうが合っている気がするし好きだ。主人公の少女を演じるのがそれほどの有名人ではなく、これまで周防監督の映画に主演した役所広司や加瀬亮と同じようにオーディションで選ばれたほぼ無名の若手というのもよく、ここも周防監督らしい。主人公・春子を演じる上白石萌音は本当に素朴な感じでいかにも田舎っぽい雰囲気がよくハマっていて、本作はこの主演女優の存在が大きく、何もわからないまま飛び込んだ世界で成長していく主人公の姿と、本作で初主演に抜擢された上白石萌音の姿がうまく重なっている気がする。春子に言語学者(長谷川博己)が京都弁を教えるくだりはまさにイライザとヒギンズそのままなのだが、若い娘が頑張る姿は応援したくなる。極度のストレスで声が出なくなり、それが治るシーンも春子の気持ちをうまく表していて良かったし、ラストシーンの後味もいい。もう少し書かせてもらえれば冒頭の草刈民代の登場シーンで「緋牡丹博徒」の主題歌のメロディーが流れ、女将を演じているのが富司純子なのはニヤリとさせられる。主な登場人物の大半が歌っているが、その富司純子も何曲か歌っているのはサプライズで、ひょっとしたら周防監督は若いころ藤純子や「緋牡丹博徒」シリーズのファンだったのかもしれないとつい思った。それに周防監督の映画で竹中直人を見るとなんだか安心する。次回作はまた社会派映画かもしれないが、周防監督にはまたいつかこういうカラッとした明るい映画を作ってほしい。 |
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