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タイトル名 |
八甲田山 |
レビュワー |
イニシャルKさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2005-03-22 17:30:37 |
変更日時 |
2024-08-20 23:29:52 |
レビュー内容 |
かなり久しぶりの再見。昔見てすごく面白かった映画だが、さすがに今見ると冗長に感じるかもと思いながら見始めたのだが、やはり雪中行軍が始まったあたりから見入ってしまい、真冬の雪山の怖さというものがすごくリアリティーを持って描かれているし、それに対する人間の無知や無力さも(とくに三國連太郎演じる山田少佐を通して)よく描かれていて見ごたえのじゅうぶんある映画になっていると思う。山田少佐に指揮権を奪われた神田(北大路欣也)隊が遭難して白い地獄を右往左往するのに対して、入念な計画のもとに実行した徳島(高倉健)隊が特に何事もなく進むのが対比的に描かれていて面白く、それぞれのリーダーの在り方一つで命運を分けるということもちゃんと描かれていて、リーダーとは何かを考えさせられる映画にもなっていて、それが以前に見た時には気づかなかった本作の面白さの一つだろう。公開当時はサラリーマンに人気があったと聞くが、山田少佐に振り回される神田大尉が見ていてだんだんと哀れに思えてきてそのあたりも納得。徳島大尉と神田大尉の友情・交流を序盤で描いているので、二つの部隊が八甲田山ですれ違うのを神田大尉が楽しみにしているという部分にドラマが生まれ、だからこそ、神田大尉の遺体を前にした徳島大尉の前に神田大尉の幻が現れ、語り掛けるシーンと、棺に入った神田大尉に徳島大尉が会う終盤のシーンはグッとくるものがあり、泣けてしまう。またこのシーンでは一緒にいる神田大尉の妻(栗原小巻)が徳島大尉にかける言葉も良かった。「日本沈没」でもコンビを組んでいる森谷司郎監督と脚本の橋本忍はともに黒澤明監督に携わっていた人だが、本作の男臭さやリアリティある描写はやはりその影響も感じられるものになっている気がする。木村大作(この人も黒澤明監督の映画で撮影助手をしていた。)が初めて撮影を担当した高倉健の映画でもあるが、雪山での撮影も見事で、木村大作=雪というイメージで語られることが多いけど、そのイメージは本作で決定づけられたのではないかと思わずにはいられない。芥川也寸志の音楽もやっぱりいいなあ。(2024年8月18日更新) |
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