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タイトル名 |
秋日和 |
レビュワー |
イニシャルKさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2024-02-18 17:56:33 |
変更日時 |
2024-02-18 22:44:07 |
レビュー内容 |
小津安二郎監督が「晩春」で描いた父と娘の関係を母と娘に置き換え、改めて描いた作品で、母親役を原節子が演じているのもあって「晩春」の続編とも感じられるものになっていて、実際、司葉子演じる娘・アヤ子の態度や、ラスト付近の母子の宿屋でのふとんの上でのやりとり、いちばん最後のシーンのアパートの部屋に一人残された原節子演じる母・秋子の悲しげな表情などは「晩春」をそのままなぞっている感じで、小津監督も意識しているのが分かるのだが、「晩春」ほどの深みは感じられないのが少々残念ではある。でもその分、コメディー要素が強く、主人公である二人に要らぬお節介を焼く三人のおやじ(「彼岸花」と同じく佐分利信、中村伸郎、北竜二)の会話や調子よさが見ていて楽しく、(それにしても途中この三人の出番が多く、この三人が主人公でも違和感がないのでは思ってしまった。)映画全体もユーモラスな雰囲気がずっとあって安心して見ていられた。序盤から登場していたアヤ子の友人である百合子(岡田茉莉子)の存在が後半になって大きくなり、友人のためにひと肌脱いで三人と渡り合う展開が実に気持ちよく、かっこいいし、演じる岡田茉莉子もすごく魅力的。この百合子が寿司屋で北竜二演じる平山に言うセリフがとても好きだ。屋上でアヤ子が百合子に言う「みんなだんだん離れていっちゃうのよ。」というセリフも考えさせられるものがあり、とても良かった。小津監督独特の会話のテンポも見ていて楽しく、心地いい。それから小津監督と言えば笠智衆だが、「晩春」では父親役だった彼を今回は秋子の亡くなった夫の兄役に起用しているところにもなにか遊び心が感じられる。 |
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