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タイトル名 |
イノセンス |
レビュワー |
ペンギン皇帝さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-03-17 00:30:32 |
変更日時 |
2004-03-17 00:30:32 |
レビュー内容 |
映画には二通りあると思う。映画を見れば内容がわかるので観客は作品をただ受け止めるだけ、という受動型映画と、見る観客側にも感受性を働かせたり考えることを求めたりして映画に参加することを要求する能動型映画。もちろん前者が悪いわけではない。ハリウッドの大作映画だって面白いものはある。が、この映画は断然後者。そして受動型映画の見方をして「つまらない」と言っているのを聞いていると非常に心が痛む。この映画には見方があるのだ。「映画の分際で何を」と思われるかもしれないが、そう思うと理解できるところもあるのでは? ようするに感性が合うかどうか。感性が合わない人には最悪映画だろう。これは。 そもそもこの映画の悲劇的なところは宣伝の失敗にある。宣伝する側が「前作は見なくても楽しめる」と言っているのが大失敗だ。かの名作「ロード・オブ・ザ・リング」だっていきなり「王の帰還」から見ればただのつまらない長ったらしい作品だ。まず「攻殻機動隊」ありき。必須。「攻殻機動隊」を見て、小難しい設定やら用語はひとまず置いといて、バトーと素子の切ない関係だけでもおさえておけば「イノセンス」は楽しめる。難解な引用など詩かBGMかと思っておけばいい。(でも本当はあとで知ると意外に意味深なことを言っていたりするけど、まあいいや)とりあえず前作さえ見ていれば、何故バトーや9課の面々ががあれほどへこんでいるかわかるはず。そしてなにより、前作を知らなければあのクライマックスが全然楽しめない。「誰? 少佐って?」とか、バトーが人形に洋服をかける意味がわからないとか、それだけで映画の魅力の三分の二は喪失している。逆にそこさえ押さえておけば、ラブストーリーとして十分に楽しめる。情熱的な描写こそないが、静かに相手を思う男の淡いラブ・ストーリー。前作から二人の関係に魅せられた当方にしてみればこの映画のクライマックスは9年越しで送られた最高の贈り物だ。もちろん、映画の主題は違うところにあるけどね。個人的には10点満点で100点ぐらいつけたいが、万人受けしないので9点。押井さんにはこれからも容赦なく自分の表現の道をまい進してほしい。マンハッタンラブストーリーにいわく、「記録より記憶に残る作品」を。 |
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