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タイトル名 |
天使のくれた時間 |
レビュワー |
南浦和で笑う三波さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2005-12-17 09:10:16 |
変更日時 |
2005-12-18 11:09:00 |
レビュー内容 |
20世紀最後の年に作られたクリスマスムービー。いつもは車で帰る主人公が、たまたま歩いて帰ったために、生死の境をさまようような体験をし、その体験で縁ができた黒人があたかも奇妙な能力を持っているように思わせる語り口が秀逸。本当は一人のビジネスマンがイブの夜に夢を見ていただけなのに、この語り口があることで観客は自分が観ているシーンが、偶然出会ったその黒人が引き起こした不思議な現実のように思って見入ってしまう。おまけに、ビデオで自分の過去を回想するというダメ押しがあるので、すっかり夢であることを忘れさせる作りになっているのがうまい。さらに、慣れ親しんだ生活をいっぺんに変えてしまうような思い切った決断ができるのは実は女で、男は今までの生活を一変させるような決断をなかなかできない動物であるという、男と女の本質的な違いを捉えきった脚本なので、ファンタジーでありながら、圧倒的な現実感、というか、身につまされ感がある(女の主人公は、夢の中で一度、現実のラストでもう一度、思い切った決断をしている、対して、男のほうは、終始慣れ親しんできた生活への未練が決断の基礎となっている)。最後のコーヒーを飲みながらの語り合いのサイレントシーンは、作品中では全く見せなかった現実の二人の13年間の別々の人生に思いを馳せさせ、余韻が深い。(2005/12/18追記)天使が誰かについて一晩考えたが、イブの夜の誘いを実家に帰ると断った女以外にはありえないと私は思う。ほとんどすべての出来事は、彼女がくれた時間に起っている。 |
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