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タイトル名 |
フライト |
レビュワー |
delft-Qさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2014-05-26 11:36:09 |
変更日時 |
2014-05-26 11:36:09 |
レビュー内容 |
「フライト」というタイトルと出だしの30分から最初はエアパニックものかと思ったが、もっとヒューマンなテーマの作品だった。端的にいえば「自分の弱さをどう乗り越えるか」という話であり、そのプロセスを見る者もともにたどり考えさせる。 パイロットとしてはスゴ腕でも人間としては自堕落な主人公。何度も酒を断とうとするが、そのたびに挫折。決して理想的な人間とは描かれない。あと一つウソをつけば身が助かるという場面で、彼はギリギリの選択を迫られる。最後のウソをつくには、命を犠牲にして子どもを救った愛人の尊厳に泥を塗らねばならなくなったのだ。ウソをつくのはお手のモノのはずの主人公だったが、どうしてもそれだけはできず、とうとう正直に告白する。彼のなかにはまだ「誠実」あるいは「真心」といったものが残っていたのだ。一方、覚せい剤を飲ましてまでも彼にウソをつき通させようとする弁護士やパイロット組合幹部のありさまに、見かけは立派でもじつは「誠実」より自分の利益のほうを大事とするあさましさも対照的に描かれ、いわゆる「立派な人たち」の欺瞞がさりげなく告発もされる。 主人公は結局、刑務所に入ることになるが、そこで彼は「初めて自由になれた」と素直に語る。そこにはもはや一片のウソもない。 つまるところ、人間の魂を救うものは何かが提示される。その中身自体は古くからあるものではあるが、同時に、古くからあるものだとして軽視すべきではないとも教えてくれる。コンベンショナルなテーマを扱っていても面白く最後まで観ることができる佳作である。 |
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