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タイトル名 |
イン・ディス・ワールド |
レビュワー |
delft-Qさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-12-12 22:59:56 |
変更日時 |
2005-04-07 11:13:05 |
レビュー内容 |
私たちがロンドンへ行くとすると、まあふつうは飛行機だから、日本からなら約12時間くらい。そのとき思うのは、「12時間もエコノミークラスっちゅうのはかなわんなぁ……」とか。――ふ~む、ついつい忘れてしまうけれど、やっぱり日本は「地球」という観点から見れば、超ファーストクラスの国なのである。 最初のほうで、少年の家族が「陸路でロンドンを目指すのは危険だ」という。私も「そりゃ、危険だ」とか思った。が、そのとき私が感じた「危険」は、あくまでも漠然とした観念にすぎず、そのあと展開されるほぼ現実に近いであろう具体的な陸路の旅のありさまを目の当たりにしたとき、私はいかに自分が生っちょろいか思い知らされた。そこには、エコノミークラスをうっとうしがる私の想像を絶した「旅」があった。同じ、現在のこの地球の上の話なのに、日本からわずか12時間の旅が、彼らにとっては三蔵法師が天竺へ行くのにも等しい命がけの旅路となっている(こうした実情は簡単に想像できるものではない。映像の力を強く感じた)。 旅の途中、少年たちは地元の子どもたちとよく遊ぶ。彼らも笑っている。その姿は、束の間のものであっても、ほっとさせるものがあり、貧しいながらもよく笑う子どもたちの健康さに、ふと、小学生が小学生を殺す自国の現状を照らし合わさずにはいられない。イタリアからフランスへ列車で移動する車中、少年がさまざまなことを回想するシーンでは、私の目から何やら生暖かいものがドドドとあふれ出るのであった。 少年の一人は、なんとかロンドンにたどり着く(もう一人はどうなってしまったのか)。しかし、それで彼の旅が終わるわけではない。まだまだ異国での「生きる」という旅が待っている。少年はロンドンに出てきてよかったんだろうか、と思ってしまうエンディングだった。9点也をつけたいと思います。 |
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