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タイトル名 |
曲馬団のサリー |
レビュワー |
まぶぜたろうさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2003-12-08 01:51:11 |
変更日時 |
2003-12-08 01:51:11 |
レビュー内容 |
グリフィスが素晴らしいのは、1ショットの美しさのために物語を語ることを放棄したこと、1ショットという概念を原初的に提示したこと。初期の短編にみられるドキュメンタリー的な美しさは、失われたアメリカの風景を捉えている、といったノスタルジックな文脈とは遙かに異なり、1ショットの持つ力に拘泥し物語を無視してしまったことによる。物語に奉仕する「クロス・カッティング」と、「リリアン・ギッシュの美しさについ近くに寄ってしまった」から発明された、いわば物語から逸脱するための「アップ」、その相反する技法を共に生みだした作家グリフィス。この映画はグリフィスの一方の集大成であるかのような映画、「アップ」だけの映画、キャロル・デンプスターの美しさだけを描いた映画です。寝床代わりのパン釜に入り、鏡を取り出すキャロル・デンプスター。そのロングショットから同軸上でアップつなぎ、逆光に煌めく髪をとき、化粧する美しい表情を捉える。これは、そんな素敵な瞬間だけで構成され、物語はそれを紡ぐ口実でしかない。それってヌーベルバーグじゃん!物語の作家、「クロスカッティング」の作家グリフィスと、物語を無視する作家、「アップ」の作家グリフィス。その両者の幸福な出会いがエリック・ロメールだ。 |
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