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タイトル名 |
アイデン&ティティ |
レビュワー |
HARVESTさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2004-08-29 23:55:38 |
変更日時 |
2004-08-29 23:55:38 |
レビュー内容 |
これは観る者を非常に選んでしまう作品だろう。或る者には陳腐な青春群像劇としか映らないだろうし、また或る者にとっては共感を呼びノスタルジーに浸らせ、涙を誘うパワーがある。つまりは今から約十数年前に起こった空前のバンドブームに対するオマージュ作品なのである。当時とある深夜番組でバンドの勝ち抜きコンテストが行われていた。これをきっかけに、バンドブームが日本中に巻き起こった。当時十代・二十代だった若者は誰もが何かしらの形で熱をあげていたものである。(これは作中にもちらりと登場するビデオ画像、友情出演者、はたまたコメントを寄せた人間たちのリストを見れば、この番組がいかにとてつもない影響力をもっていたかが窺える)しかしブームというものはどんなものでもいつかは終焉を迎える。いいようにメディアに利用され、利用価値がなくなった途端捨てられたバンドマンたちは一体どれぐらいいるのだろうか? ただの一ファンだった私ですらそう思うのだから、当人たちは胸が痛くて見ていられないだろう。もしくは「あんな頃もあったな」と笑っていえるのだろうか? ロックとはそもそも反骨精神に満ちた音楽だった。それが商業化され、ビジネスとなった時、ロックの精神は死滅する。同時にロックを愛する者のアイデンティティはぐらぐらと揺らいでいく。真のロックとは何なのか? それをこの映画はスピードウェイという架空のバンドを通し、我々に訴えているのである。軽いようで奥の深い作品。構成面ではややダレる部分があるものの、かつてのバンドブームが思い出の一部である者にとっては忘れ難い一作となるやに違いない。 |
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