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タイトル名 |
コクーン |
レビュワー |
ことり式さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2006-01-25 15:26:07 |
変更日時 |
2006-01-25 15:27:12 |
レビュー内容 |
大好きな作品です。お年寄りたちは最後に宇宙人とともに、「連絡が取れなく」て「死ぬことのない」土地に向かうんだけど、そこは地球(こっち側)の人間にとっては明らかに「あの世」なんですよね。彼らが宇宙船で空の上に登っていくシーンは、幸福な来世ってのを信じながらの集団心中のようにみえる。彼らが余生を過ごしていた老人ホームはこの世から少しせり出してしまった「港」であって、その建物が海の近くに位置していたのも象徴的です。船貸しの若者は作品序盤で「船をしっかりロープにつなげておけ」といわれ、この若者は結局地球に残ることを決意します。一方、お年寄りたちはロープを外し、服を脱ぎ「あっち側」とコネクトし、身体を捨てて、「空のうえ」に行こうとします。ところで、本作を解釈していく際、捉えづらい存在が一人います。最後に一人だけ地球に残ることを決意する老人です。彼は妻を亡くし、自分もがんに侵されています。「あっち側」に向かう宇宙船に乗れば、亡き妻との再開も期待できるはずなのに・・・乗らない?彼は「あっち側」を、死後の世界としてではなく、「死ねない世界」と捉えていたのかも知れない。むしろ、「あっち側」に行けば妻に会えなくなると。作中の宇宙人は明らかに天使の象徴であり、天使との同行を拒否したこの男性は作中で強い違和感を放っています。この違和感を許してまで作家が訴えたかったことは何なのだろう……。本作は見方によって色々な解釈ができるし、何も考えずとも十分楽しめます。 |
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