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タイトル名 |
クール・ワールド(1992) |
レビュワー |
エスねこさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2006-05-31 00:14:10 |
変更日時 |
2007-12-31 14:30:27 |
レビュー内容 |
こりゃ~すげえや。ブラピ、ガブ、ベイジンガーと実力派を集めたアニメ実写合成モノ。以前から気にはなってたんだけど、イマイチ評判を聞かないので「こりゃスカだろう」と放ってありました。オープニングの段階で、ある種の凄い匂いが漂ってきます。この段階、本編に入る前から4割くらいの率で確信しました。この作品で言う《クール》ってのは「クールガイ」等の用法の方じゃなく、ダウナー系ドラッグをキメた時のクールを意味してるんだ…とね。 これを理解すると、マンガのクセに故意にアダルティな展開に持って行ったり、かと思えば分裂症患者のような意味不明の論理が通用したり…という、本作を覆い尽くしている(英俗語で言うところの)「クール=らりぱっぱ状態」を見切る事ができます。この作品が目指すベクトルは『ロジャー・ラビット』や『スペース・ジャム』じゃなく、『裸のランチ』『トータル・リコール』『カリガリ博士』の方向性なんです(余談だけどオイラは『ギャラクシー・クエスト』も相当意地悪な分裂症テーマ作品だと思うよぉ)。 で、本作の凄かった点は徹底した「狂気の肯定」。これに尽きます。クライマックスで博士の言った通りにヒーローになってしまうガブ君は、もう『裸のランチ』のエンディングを通り越して向こうの国にイっちゃってますからねー。ラストがこんな凄い現実否定で終わる物語は貴重ですよ。また、対するブラピ君は刑事として登場する時点で、既にクール・ワールドに取り込まれて「狂って」いるっていう点も、観客へ余計な恐怖感を与えずに世界を案内できるというメリットがあり秀逸。ベイジンガー演じるホリー・ウッドは『花嫁はエイリアン』と同系のハマリ役ですね。まさに彼女のためのキャラでした。エッ、ラジーショー? ウッソ... しっかし、アニメ版『指輪物語』を監督したラルフ・バクシが、こんなぶっ壊れた精神世界を描くだなんて…描写に彼らしいねちっこいクドさがあって、ハナシが何ともスムーズでないのが満点に届かない理由。そこだけは本当に残念でした。ホリーの動画だけ信じられないくらい気合い入ってるのが笑えますけど。クール・ワールドで彼女に会えるなら、ちょっと狂ってみてもいいかな。←既に作者の手の上 ●追記:"cool ドラッグ" で用法をぐぐってみてるんすが「非ハイ=クリア状態」の用法しか出てこない…90年代に結構使われてたと記憶してるんだが…。 |
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