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タイトル名 |
ハード キャンディ(2005) |
レビュワー |
no oneさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2007-10-30 16:12:12 |
変更日時 |
2007-10-30 16:12:12 |
レビュー内容 |
ソリッドシチュエーション・スリラーの新作みたいな宣伝をされてるけど、ちょっと違うと思う。二人の人間による心理劇が見所なのであって、ゲーム的な設定がメインなのではない。
狂気と幼さが同居する女の子のサディスティックな振る舞いも、自信ありげなインテリ男が追い込まれて壊れていくようすも、ともに迫真の演技だった。103分にも渡って緊張感を持続させたのはいうまでもなく二人の功労が大きい。テレビドラマでは質の悪いものほど音楽を流して誤魔化すというけれど、この映画にはオープニングとエンディング以外、ろくな効果音すら使われていない。
頭脳戦の面もあるにはあるが、見所はそこではないように思う。知性では女の子のほうが一枚上手だが、彼女だってちょっとしたケアレスミスからピンチに追い込まれているし、男に出し抜かれる余地は十分にあった。だが男はここぞというときに浅はかな行動でチャンスを台無しにする。極限状況でどれだけ我を失わずにいられるか、どれだけ容赦なくなれるかが勝負の決め手となる。つまり精神力の対決なのであり、だからこそこれほど見応えがあるのだろう。
少女の正体は最後まで明かされない。昔から凄腕の殺し屋を扱う物語では、犯人の正体が不明のままに終わるのがひとつのパターンになっている。こうして少女はどこか怪物じみた印象を残したまま観客の前から消える。もちろん正義が彼女の側にあるのは確かなんだけど、常軌を逸した手段をとったことも事実なわけで。毒をもってなんとやら、という言葉を思い出した。 |
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