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タイトル名 |
オアシス |
レビュワー |
no oneさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2007-06-26 00:36:13 |
変更日時 |
2007-07-29 20:41:32 |
レビュー内容 |
クライマックスが近づくにつれて暗澹たる思いになり、観たことを後悔した。枝を切る場面では不覚にも泣きそうになる。喚きながらひたすら鋸を引くジョンドゥと、ラジオの音量をあげることで答を返すコンジュ。こんなにもロマンティックな雰囲気から程遠く、しかし力強く切実な愛の表現はみたことがない。
けれどもほんとうに衝撃的だったのはラストの手紙だ。刑務所を出たら、おいしいものをごちそういたしまする、などとのんきにのたまうジョンドゥ。明るい日差しの中で一心に掃除を続けるコンジュと、とぼけた音楽。冤罪の悲劇なんて、どこ吹く風といった雰囲気。気が抜けて、思わず笑ってしまった。ああ、この二人は「無敵」なんだな、と思った。誰であれどんな出来事であれ、二人を引き裂くことはできないんなだと。
思えばジョンドゥは最初からそうで、常識に捕われずに自分のやり方を押し通していた(それゆえの危うさもあるけれど)。コンジュを連れて周囲から冷ややかな視線を浴びても平気。ジョンドゥを強姦容疑で取り調べた警官は「彼女を見ろ、欲情なんてできるか? お前は人間じゃない」などと言い放ったが、ほんとうに残酷なのはそっちのほうだ。ジョンドゥには一切の常識もなければ、偏見もない。彼にとって確かな事実は、「コンジュは可愛い」、それだけ。障害に対する差別どころか同情すらもなく、完璧にまっさらな目でひとりの女性として見つめている。「差別」どころか「区別」しているどうかも怪しい。
この結末は暗いと捉えるのが普通だろうけど、二人は(とくにジョンドゥは)、たぶん全然そう思っていない。きっと周囲の思いとはまったくかけ離れたところで、彼らは彼らなりの幸福をつかむ。どんな場所であれ、二人がそこにあると思った場所に“オアシス”は存在するのだろう。 |
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