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タイトル名 |
インサイド・マン |
レビュワー |
六本木ソルジャーさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2006-07-09 17:48:04 |
変更日時 |
2006-07-09 17:48:04 |
レビュー内容 |
ストーリーのみを振り返るとかなりすっきりした気分になれる内容になっているはずである。しかし、映画を観終わった後にまったくすっきりした気分にはなれなかった。 社会への風刺が含まれていたり、人種差別などを盛り込んだりして、スパイク監督ならではの演出もあったかもしれないが、本作のような内容ならば、それにふさわしい人が演出した方がよかったのではないか。短期間で雑に仕上げられた印象もあり、監督の実績作りに利用された感も受けた。 個人的に一番気に入らなかったのは、途中途中で入る人質になった人たちの尋問シーンである。この手法自体は面白いアイディアと思うが、問題は中身である。「人質に対する事情聴取」というアプローチならばよいと思うが、どう考えてもあれでは「容疑者に対する尋問」である。 つまり、序盤にあの尋問シーンがあるために、すでにワシントンVSオーウェンの戦いはワシントンの負けということが分かってしまう。既に結果が分かっているゲームを眺めるだけである。序盤に大量得点が入って勝負が決した野球の試合をみるのにも近い。 あの演出に対する創り手の視点としては、ワシントンとオーウェンがどちらが勝つのかという激しい駆け引きを描くのではなく、いかにしてオーウェンが事を成し遂げたのかという点に重きを置いたからなのかもしれない。そうだとしてもこの手の映画には「緊張感」というのが重要であり「緊張感」をわざわざ減らす必要はない。そもそもこのゲームはワシントンに有利になることなく、オーウェン側のかなり一方的な試合展開になっているため、一層緊張感を欠く。 したがって、あの場面は「容疑者に対する尋問」ではなく「関係者への事情聴取」に留めておくべきだったと思われる。人質の口から、この計画の隙のなさを語らせるというのであれば、全く問題なかった。「スティーブ」「スティーブO」「スティービィー」と呼び合っていることを人質の口から語られることにより、オーウェンの手法の全貌を観客は知ることができる。 それにしても冒頭からもはっきりと言い過ぎではないか。 「狭いところと刑務所とは違う」というのは明らかネタバレしすぎだ。むしろ、冒頭において、オーウェンは刑務所にいるのではないかという誤解を逆に観客に与えてもよい。最初のインプレッションとは全く異なる展開が、緊張感や面白みを生むこともある。 |
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