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タイトル名 |
シャッター アイランド |
レビュワー |
六本木ソルジャーさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2010-04-12 22:18:28 |
変更日時 |
2010-04-12 22:18:28 |
レビュー内容 |
鑑賞前に一切の情報をシャットダウンして臨んだが、本作の設定を踏まえると、ある程度イメージは固めていた。多くの人が同じようなイメージを抱いていたとは思うが、本作はそのイメージを超えることはなく、自分のイメージが当たっているかを確認する作業でしかなかった。いい緊張感と集中力を保てたので、飽きることはないものの、謎解きや秘密や深いオチを期待させ過ぎて大きく風呂敷を広げすぎてしまったようだ。配給サイドとしては当然の宣伝手法であり、その手法により、興行収入的にはアタリそうだが、評価の面では期待感が強すぎてハズレとならざるを得ない。 しかし、謎解きがメインではないにしても、物足りなさを覚える作品でもある。スコセッシが本作に何を込めようとしたのかが十分伝わってこなかった。ディカプリオが演じた男の生き様のようなものが見えてこない。苦しい過去の記憶を消して、精神を病まざるを得なかった男の悲しさのようなものが伝わってこないので、ゴーストとして生きるよりも善人として死にたいというセリフも活きていないような気がする。「マルホランド・ドライブ」のような深みのある仕上がりになれば、評価も恐らく高まっただろう。 “現実”と“妄想”とのリンクが甘すぎる気がする。亡き妻の亡霊や子どもの姿を悪夢や幻覚というカタチでストレートな手法で描くのではなくて、もっと凝った手法をヒネって欲しかった。また、基本的に放置プレイの病院サイドのやり方も甘すぎた。ディカプリオに“失踪捜査”を行わせることにより、ディカプリオの頭の中に隠された“現実”が浮かび上がるような“誘導”が構築されていない。これでは“治療”とは呼べないだろう。 本作で良かったのは、美しい映像だけだ。亡き妻を抱き締める際に、火と水と血が混ざり合った不可思議な映像や、孤島の建造物の凝った作りには見所があったが、それ以外で評価したい部分はあまりなかった気がする。 謎解きをメインにするのであれば、ただの精神を病んだ男のストーリーではなくて、病院の“秘密”を探ろうとする精神が真っ当な刑事に対して、精神を病んだ男という記憶を産み付けるために関係者がグルになって一芝居をうったという解釈ができる余地でも残してもよかった気もする。人間を精神崩壊に追い込み、自分の記憶の曖昧さ、自分が誰であるかという確信を揺るがすようなオチもアリではないか。 |
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