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タイトル名 |
ツーリスト |
レビュワー |
六本木ソルジャーさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2011-03-08 23:35:16 |
変更日時 |
2011-03-08 23:35:16 |
レビュー内容 |
オリジナルのフランス映画「アントニー・ジマー」は未見。デキの良くない駄作という事前情報を得ていたので、思いっきりハードルを下げて、「どんな駄作を見られるのか」という楽しみすら期待していた。ハードルを下げ切っており、恐ろしく古臭いセンス、間抜けな警察、間抜けな組織についても笑えるような状態だったためか、意外と普通の仕上りとなっており、逆の意味で期待を裏切られた。もっとトンでもない映画を見られるかと思ったが、よくあるような普通の古典的な作品だった。バレバレのネタを追認するだけの作業に過ぎず、アンジェリーナ・ジョリーが相変わらず美しいということ(痩せ過ぎでちょっと怖いようなところもあるが)以外には、ほとんど心に残らない作品となっており、もちろん素晴らしいと評価することはできない。 本作の決定的な問題はラストのオチだろう。全てを観客に明かすという愚行を犯している。ハリウッド大作映画を任されて、若いドイツ人監督は観客のレベルを低く設定したのだろうか。本当のプロならば、幾通りの解釈ができるような余地でも残しておいて欲しかったところだ。ハリウッド映画なので曖昧にするのが嫌だとしても、考えられ得るケースにおいて一番最悪なチョイスをしたという印象。フランクが実はただのツーリスト案、全てフランクとエリーズの共謀案よりも酷いチョイス。観客には正体を明かしてもよいが、エリーズには正体を明かす必要はないのではないか。個人的には、ある時に彼女の本当の素性を知り、恋愛と任務の板ばさみから彼女を開放するために、彼女には秘密に一芝居を打つこととして、迫り来る組織を自分の手を汚すことなく片付ける、彼女から共犯者という汚名を晴らす、警察の捜査を打ち切らせる、彼女から本当に愛される、犯罪とは無関係の彼女との新たな生活を手に入れる、という一挙両得の計略を用いたというような解釈ができればよかった。新たな顔、新たな人生を手に入れて、男性は完全に女性を騙したと確信しているが、女性はその嘘を知りながらも黙っているといった解釈がさらに出来るような男女の奥の深い関係や、愛する男がいるのに別の男に惹かれる、愛する男がいる女を惚れさせようとする男女の駆け引きのようなものを描ければよかっただろう。 「大金を掛けてその程度にしか整形できなかったのか」という皮肉的なセリフも面白味はあるが、ラブストーリーとしてはこれでは浅すぎた。 |
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