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タイトル名 |
ブリッツ ロンドン大空襲 |
レビュワー |
ころりさんさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2024-12-19 22:14:46 |
変更日時 |
2024-12-19 22:14:46 |
レビュー内容 |
ストーリーを含む事前知識なし。シアーシャ・ローナン主演で『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督作品ということでAppleTV+で鑑賞。タイトルから空襲を生き延びる系の話かな、という程度で見ていたら、主人公の子どもは明らかに黒人とのミックス。ストーリーのなかで、戦時下のロンドンを生きる民衆のなかにある、差別や排除の存在が明るみになっていく。ただ、それが嫌な感じで描かれるわけではなく、待遇の改善を求めて声をあげる女性たち、地下に作られる多様性を包摂するコミューン、黒人たちが白人客相手に最高のエンターテインメントを提供するダンスクラブ、優しさと包容力を持ったナイジェリア出身の警察官など、魅力あふれた人々とともに語られる。空襲に襲われるロンドンの街中に生まれた様々な人間模様を、少年とその母親とが再会のために、それぞれさまようロードムービー風の作り。もちろん「清く正しい」側面だけでなく、緊迫下の人間の恐ろしさ、醜さも十分に描かれ、そのすべてがエネルギーとなって空襲という苦難を生き延びる原動力となったかのよう。派手な音楽や映像でエモーションを煽って愛国心や団結に回収されるようなタイプになってもおかしくなかったが、本作は、マックイーン監督の個性を見事に反映した、人間社会の奥行きにあふれた戦争映画になったと思う。豪華なダンスホールでの空爆シーンをはじめ、地下鉄駅や廃墟などの空間の描き方はどれも心に深く残っている。
空襲下のロンドンを冒険するエリオット・へファーナン君の顔つきと佇まいも素晴らしい。母親に意地を張る頼りない子どもだったジョージの成長が手に取るようにわかる。
難点を挙げるとすれば、音響と映像の演出がとても凝っていたのに、劇場公開を見送ったAppleTV+のマーケティング的な判断。配信時代の到来はありがたいことも多いけれど、これはやっぱり映画館で見たかった。 |
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