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タイトル名 |
生きる |
レビュワー |
シンさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2015-05-25 01:31:59 |
変更日時 |
2015-05-27 12:12:45 |
レビュー内容 |
自分は黒澤の大ファンであるが、この作品は世間が評価するほどいい映画と思わない。テーマであるヒューマニズムが観念的で、シナリオも瑕疵が多いように思う。たとえば主人公の生き方の転機となった役所の部下の若い女の子はいかにもストーリーの都合上作り出した登場人物……なのはいいが、未消化のまま動かされてるという印象を持った。あんなに楽しそうに主人公と遊びながら後日はつっけんどんな態度に豹変する。そんな態度の中での自分のオモチャ工場の仕事について「日本中の赤ちゃんと友達になった気がする」という台詞は、やや不自然であった。凝った構成として評価されている後半の葬式からの回想シーンも、主人公が公園建設に立ち回るという具体的展開を見せるのが難しいと考えたので(実際主人公は他の部署に頭を下げ回っているだけである)、断片、抽象的で済む回想シーンに切り替えたという印象を持った。どちらにせよこの回想シーンへの突然のスイッチは「生きる」から役所、及び惰性人間への批判へとズレた感があり、今までの積み上げをもったいなくしている。またその葬式のシーンで、ただひとり主人公の行動を真摯に受け止める青年がいるが、彼はラストシーンで視点役にもなっているのだから、もっと前から出すべきではなかったか、あるいは出さないでよかったのではないかと思えた。唐突な人物が最後に視点者になることで、主人公の時間を共有していたはずの鑑賞者から主人公の余韻が拭い去られてはいやしないか。全体的に、死ぬことを知った人間が今までのダメ人間から生きがいに生きる人間になるというヒューマニズム……というよりアイデアが先行している堅苦しさを感じた。 |
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