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タイトル名 |
ハプニング |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2009-06-08 14:53:41 |
変更日時 |
2009-06-08 14:53:41 |
レビュー内容 |
死にたくなる毒素が撒かれるというアイデアがまず凄い。異様な死に方の数々はかなり衝撃的で、他の映画とは違うもの、今までなかったものをちゃんと作り上げているのですからシャマランはやはり何かあるクリエイターだと思います。生き延びるためには集団から離れていなければならないというルールも秀逸で、群れをなす性質のある人類にとって、追いこまれるほど集団に依拠できず個人で対応するしかないのは恐ろしいことであり、またその状況で生き延びている他人は常日頃から集団に馴染まない変わり者であったり、人に手を貸さない自己中心的な人物である可能性が必然的に高くなるのですから、人間関係も非常に不安定なものとなります。主人公達は人智の及ばぬ現象と、常識の通用しない理不尽な人間を同時に相手にせねばならないわけですから、「ゾンビ」と「悪魔のいけにえ」の良いとこ取りが可能な、極めて秀逸な設定を作り出したと言えます。人間の描き方も相変わらずユニーク。夫婦の絆の再生というありがちなテーマをとりつつも、この夫婦の亀裂は他愛のないもので、一度ティラミスを食べに行った相手が勘違いして彼氏気取り、それを必要以上に後ろめたく思って旦那に言い出せない奥さんと、その話を聞いて機嫌を悪くする旦那という、「この深刻な世界観でそんな話かい」と呆れるほどどうでもいいものです。シャマラン作品の登場人物は皆平凡で、映画向きではない普通の人たちが常識を超えた現象に立ち会い、これに戸惑い、時にちぐはぐな行動をとり、そして最後には成長してこれを乗り越えるというパターンをとりますが、人間の描き方が抜群にうまいため、SF設定とほのぼのドラマという普通は馴染まないものを綺麗にまとめてみせます。子役の扱いも毎度うまいもので、映画に登場する子供は嫌味なほど良い子か、劇中のイベントを起こすためわがまま放題かの両極端なのですが、本作の子供は緊急事態であることを認識し、何も言わずひたすら大人についていくという現実的な描かれ方となっています。本作で残念なのはラストがあまりに安直だったことで、かなりの人口が失われたはずの街が何事もなかったかのように復興していたり、現象の正体を必要以上に説明してくれたりと、危機の余韻がまるでありません。三人仲良く暮らして新しい子供を妊娠しましたというのもありきたりで、ここで一気にドラマの良さも失われたように感じました。 |
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