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タイトル名 |
タイタニック(1997) |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2009-01-02 03:39:46 |
変更日時 |
2009-01-02 03:43:50 |
レビュー内容 |
構造はターミネーターと同じで、不満を抱きながら日常を送っている女性の元にある日イケメンが現れ、襲いかかる脅威から全力で自分を守ってくれる中で愛が芽生え、数日の間に一生分の恋愛を経験するという女のファンタジー。このイケメン、顔だけでなく中身も完璧で、ありのままの自分を愛してくれると同時にいざという時には身を呈して守ってくれる理想の男性。このように少女マンガみたいなベースにアクションを作るのがキャメロンの独特なところです。ただ、ターミネーターの時にはこの傾向にもさほど違和感はありませんでしたが、タイタニックでは特殊な方向にまで進化しています。女性視点で話を展開するどころではなく、フェミニズムへの迎合が見えるのです。「女だからと言って自分の人生を生きられないのはイヤだ」というローズの嘆きはかなりストレートで、女性を縛りつける昔ながらの社会をはっきり悪と位置付けています。婚約者キャルはローズを束縛し、思い通りにならなければ暴力も振るうDV男だし、その対極にあるジャックは「君は人として自由になりなさい」とローズを導きます。キャメロン作品には珍しく一方的な価値観が作品を貫いており、それは物語のバランスを崩しかねないほど。不満があるにせよれっきとした婚約者がいるのに、昨日今日出会ったばかりの男とフラフラ遊び回るのはさすがにマズイでしょとか、貴族社会が息苦しいと言っても、庶民では一生食えないものを食い、欲しいものをいくらでも買えて貴族社会に属する恩恵も十分受けてるんだから、ちょっとはガマンなさいよとか、この映画のモラルには脆弱な部分がいくつもあります。悪役とされるキャルにしても、貴族社会の中では十分浮いているローズの行動を忍耐強く見守っており、また彼女を取り戻すべく沈没寸前のタイタニックに残るなど彼なりに彼女に対して最大限の愛情を注いでいて、一方何不自由なく生きられるはずのローズを貧乏生活に引き込もうとするジャックが正しいとも言い切れません。つまりこれは女性の自立を絶対的な善とするフェミニズムに立脚した物語であり、これをなぜ男性であるキャメロンが作ったのかはよくわからないところです。別に私はフェミニズムが悪いとは思わないのですが、一面的な主張がこの作品の奥行きを奪っているのは確か。ローズの母やキャルの思いも平等に描いて観客に考える余地を与えていれば、もっと良い映画になったと思います。 |
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