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タイトル名 |
ヴィジット |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2016-09-12 21:35:45 |
変更日時 |
2016-09-12 21:35:45 |
レビュー内容 |
『シックス・センス』の特大ホームランの反動からいまだ抜け出せておらず、新作リリースの度に観客や批評家から袋叩きにされるシャマラン。やまない批判に疲れたのか一時は雇われ監督に徹する方向性を模索したものの、『エアベンダー』と『アフターアース』が自前の企画をも超える批判を受けたことからその道も閉ざされ、製作・脚本・監督兼任というセルフ企画に出戻ってまいりました。ただし『レディ・イン・ザ・ウォーター』の15分の1、『アフターアース』の26分の1というローバジェットで製作されており、「要らん期待はなさらぬように!」とのシャマランの声が聞こえてきそうになります。 んで映画の内容ですが、これが抜群に面白く、製作規模を小さくして観客の期待値調整を図ったシャマランの戦略は吉と出たと言えます。そもそもシャマランの構成力や演出力は高いため、監督の能力がハッキリと現れる低予算映画ではその強みが十分に発揮されるのです。スリルとユーモアのバランスのとり方が絶妙であり、飛び上がりそうになるほど怖い場面の後では、全体の緊張感を壊さない程度のユーモアで観客を休ませるという緩急の付け方は名人芸の域に達しています。例えば床下のかくれんぼ。シャレにならん脅かし方で孫をドン引きさせたおばあちゃんが、「はっはっはっ、冗談よ冗談」なんて言っていつもの優しい表情に戻るのですが、後ろ姿を見ると半ケツ丸出しでまったくもって普通の状態ではないという、死ぬほど怖いんだけど笑うしかない演出は本当に見事なものでした。 もうひとつ特筆すべきは、明らかに異常なんだけど、場のメンバーが「良い祖父母と孫」を演じ続けることで辛うじて維持されている秩序がどこかで崩壊するのではないかという緩やかな恐怖が見事に演出されているという点です。かつてヒッチコックは、サプライズよりもサスペンスを重視するという旨の発言をしましたが、ヒッチコックを尊敬するシャマランもまた、異常者が暴れ回るというサプライズよりも、いつ異常者が本性を現すか分からないというサスペンスを作品の中心に置いているのです。結果、何気ない日常の光景にも緊張感が生まれ、観客は物語にグイグイと引き込まれることとなります。 一世を風靡したシャマランのどんでん返しも本作では健在です。ネタを明かされると「そりゃそうだよね」としかならないのですが、姉弟の母親と祖父母の間に普通ではないわだかまりがある様子であり、姉弟が彼らの秘密を探ろうとするという展開を入れることで、見事に真相を隠しているのです。観客をミスリードする技術についても、シャマランの腕前は鈍っていないようです。 |
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