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タイトル名 |
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
3点 |
投稿日時 |
2011-02-03 22:39:24 |
変更日時 |
2011-02-04 22:34:45 |
レビュー内容 |
映画としてはめちゃくちゃに面白いです。謎含みのドラマにはぐいぐい引き込まれるし、タイムリミットサスペンスとなるクライマックスにもドキドキさせられて、さすがはアラン・パーカーという仕事を堪能できます。ただし、映画の根幹にある主張にまったく納得できなかったので、社会派ドラマとしては失格だと思います。この映画、死刑と冤罪がごっちゃになっているのです。死刑そのものが存在してはならないという議論と、司法制度の運用方法が悪いために冤罪が発生してしまうという問題は別次元の話であり、「冤罪が起こるから死刑は廃止しなければならない」という話はちょっとズレています。ならば、死刑以外であれば冤罪が起こっても構わないのか?教え子へのレイプ疑惑によって仕事も家族も友人も失ったゲイルの姿を見れば、いかなる犯罪であっても冤罪が起こってはならないことは明らかです。死刑の議論とは、例えばケビン・スペイシーが「セブン」で演じたジョン・ドゥのような、他人の命を弄ぶことに何の抵抗も抱かない凶悪犯を生かしておく必要があるのか?他人の命を軽んじた者には命をもって償わせるべきではないのか?という議論であるべきなのです。また、活動家としてのデビッド・ゲイルの行動にも納得できませんでした。彼は死刑廃止運動のために命を投げ出しましたが、人生や命とは自分ひとりのものではありません。デビッドを捨てた妻や、教職を追われる原因を作った元教え子などは、彼を死に追いやった責任で一生苦しみ続けるでしょう。また、後に冤罪であることが判明するとはいえ、デビッドの息子はもっとも多感な時期に「レイプ殺人犯の息子」として育たねばなりませんでした。死刑廃止運動で命の大切さを説くデビッドが、自分の周りには多くの人間がいて、勝手な行動をとればその人たちに大変な迷惑がかかるということに気付かなかったというのは、ある意味大変な皮肉です。そもそも彼の行為は、規格外の使用法をして「この製品は不良品だ」と難癖をつけるクレーマーレベルで、意図的に冤罪を引き起こしておいて「死刑制度の問題点を指摘する」と言われても説得力がありません。 |
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