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タイトル名 |
ボーイズ・ドント・クライ |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2006-04-24 02:48:45 |
変更日時 |
2006-04-24 02:48:45 |
レビュー内容 |
あまりに救いのなさすぎるラストに対する拒否反応は私にはないのですが、どうにも高評価を与えづらい作品です。題材の重大さに対して演出力が追いついていないのがその原因でしょうか?あまりに衝撃的な作品なので見ていて退屈することはないのですが、どうにも感動の伝え方が稚拙なような気がしました。ありのままの自分を社会は受け入れてくれない、またそんな社会にウソをつき続けねばならないというブランドンの背負う重荷、そしてようやくありのままの自分を受け入れてくれるララというパートナーができた喜び、そのどちらも結局肌で感じることはできませんでした。この映画の意義は、恐らくそういうものを観客に共感させることにあると思うのですが、そんな肝心な部分を伝え損ねたまま、話は凄惨なラストへと突入していきます。あのラストは誰が撮ったって、誰が見たって衝撃を受けるものであり、そういう意味ではある種の一発芸のような印象を受けました。そこに至るまでのドラマがあまり良くなかったこともあり、「これを見せれば誰だってショックを受けるはずだ」的な作り手のあざとさまで感じてしまったのです。悪名高きセカチューのように、感動しそうな記号を適当に配置する的ないやらしさが見えました。いや、製作したみなさんは恐らく真摯な姿勢でこれを作ったとは思うんですよ。でもまぁ性同一性障害という繊細なテーマの本質を十分に描くことなく、かわりにそれに対する実にわかりやすい偏見をクローズアップしすぎたために、どうにも感動を押し売りする即物的な映画に感じられたんです。もしこの映画がより高度な演出を持って、性同一性障害の本質を私たちにも感じさせることのできるドラマであれば、ラストの意義はより大きなものになったはずです。ただただ「悲しい」「かわいそう」で終わらないものとなったはずです。オスカーを受賞したヒラリー・スワンクの頑張り(本作は演技力というよりも頑張りを感じました)をはじめ、良い友達なんだけど同時にいやらしさも感じさせるというジョンとトムの絶妙なうまさ、美しすぎないクロエ・セビニーの田舎ヤンキーのハマり具合など、キャストは実にうまく配置されているだけに、実にもったいない気がしました。 |
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