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タイトル名 |
暴走特急 |
レビュワー |
ザ・チャンバラさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2008-08-25 18:56:14 |
変更日時 |
2008-08-25 19:03:27 |
レビュー内容 |
観ている間中、「決して危機に陥らない主人公」というムチャクチャな前提でよく映画が成立してるなと感心し通しでした。世のすべての物語は紆余曲折があるからこそ面白いのに、絶対に勝つことがわかっている、その過程で一切の危機に陥らず、主人公が顔色ひとつ変えずに映画が始まり終わっていく、そんな代物がよくぞ100分それなりに退屈させない出来に仕上がっているものです。これはセガールという映画史上もっともミステリアスな俳優でこそ出せる珍味であり、そういう意味ではセガールはそれなりに評価すべき人物なのではないかと思います。デ・ニーロですらコピー不可能な、世界唯一の芸当を持った俳優さんですから。監督や脚本家も地味に頑張っています。「主人公が危機に陥らない映画を作れ」と言われてまぁそれなりにまとまった形に脚本を仕上げ、映画として成立するレベルの演出をしてみせるというのは高等技術ではないでしょうか。首尾よく列車を制圧したものの、ライバックが乗ってるとわかるや「ヤバイ、俺達終わった」と焦りだすテロリスト、一方で「ライバックが乗ってるってよ、やったー」と喜び出すペンタゴンの偉いさん達、こんなセガール作品ではおなじみの光景を、笑わせずそれなりに見せてしまえるというのは影ながらの演出の巧さのおかげでしょう。この映画には、そんなコメディギリギリの描写が盛りだくさん。「こんなものは俺には効かんよ」と、痴漢撃退スプレーをまるで香水かのように自分の顔に吹きかけるテロリストのボス。ボスの強さアピールの描写でしたが、明らかにヘンなシーンなのに「あぁ、そうなんだ」とそれなりに見れてしまうのはこの映画ならでは。一方セガールはもっと強烈で、敵のスナイパーに肩を撃たれるも「貫通してるから撃たれてるうちに入らない」と他人事のようにコメントし、本当に何事もなかったかのようにその後のアクションをこなすという超人ぶり。こういうおかしな描写をサラっと見せてしまえる演出は素晴らしいことですし、「セガールにとってはそんなもんなんだろうな」と無意識に納得させてしまえるセガールの存在感も見事なことです。 ちなみに本作の脚本を書いたのはマット・リーブスという人物で、本作後テレビ界で実績を重ね、「クローバーフィールド」の監督を任されるまでに出世したようです。セガール塾での経験が「クローバーフィールド」につながったんだと私は信じています。 |
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