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タイトル名 |
アバウト・シュミット |
レビュワー |
合言葉は埜波と軍曹/埜波(のなみ)さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-09-17 18:49:38 |
変更日時 |
2004-09-17 18:52:30 |
レビュー内容 |
人というのは所詮ひとりでは生きられない。いつになっても、いくつになっても自分の役割と居場所を求め、誰かの役に立ちたいと思い、その実誰かに必要とされたいと密かに願う。それをエゴとか依存と決め付けるのは簡単だが、実際買い物だって誰かがお店を開いてなければモノを買うことすら出来ない(まあ、極端な例なんだけども)。知らず知らずのうちに、誰かにすがっている、それが当たり前なのだと思う。振り返ると、家族を愛していたつもりでいても、結局は仕事にしか満足を得られなかった。家族との関係は空疎なものになっており、またこれまで仕えてきた会社は、定年過ぎるともはやお払い箱で自分のことなどどうでもいい(ゴミ捨て場の書類が象徴的だった)ということを思い知らされ、自分を必要としている人がいないことに愕然として最後家にたどり着いた。ラストまでの時間の長さは、そのまま彼が失った時のような気がする。暗く荒れ放題の家の中は、そのまま彼の心象風景だった。頼りたい人に相手にされず、自分自身の無力さを痛感した彼の心中は如何ばかりか。必要とし、必要とされることを今ごろになって気づいた、もう遅かったのか。その絶望感がひしひしと感じられたから、最後のあの絵には涙が止まらなかった。しっかりつながれた手、大きく輝く太陽が、大丈夫だよと語りかけている気がして。気付くのは遅かったけれど、気付くことが出来たのが大切なのだと。神様がいるとすれば、遠いアフリカの天使にそれをたくしてシュミットに伝えたような、そんな気がする。今でも思い出すたび、涙が止まらない。 |
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