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羅生門(1950) - 田吾作さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 羅生門(1950)
レビュワー 田吾作さん
点数 8点
投稿日時 2020-04-27 12:01:02
変更日時 2020-04-27 12:01:02
レビュー内容
原作未読。

雨の羅生門と猛暑の藪の中、そして検非違使での告白と3シーンにおける、今でいうところのシチュエーションミステリー。
特に京マチ子が顔に汗を浮かべながらの妖艶な演技が印象に残る

ある強姦事件を当事者たちが全く違う視点で供述を展開し、さて真実はいかに…という展開がユニーク。
しかもその全員が自分に都合のよい解釈(つまり都合悪い点を改変している)で告白するわけだが、恐らく最も真実に近い告白をする志村僑(事件の目撃者)ですら、自分に都合の悪いこと(短刀のこと)を隠している。

興味深いのは、結局多襄丸と武士との決闘もお互い「へっぴり腰」だったということ。
本作は戦後まもない時期の作品だが、恐らく戦争での歴史や回想というのも似たようなもので、大本営発表の例を持ち出すまでもなく、また一人ひとりの戦地での回想も自分に都合よく、そして自分に都合悪いことは語られなかったであろう。

しかし、最後はそうした人間の暗部を認めつつ、それでも人間に希望を示して終わるエンディングもよい。

本作は戦後という時代背景も踏まえ、人間存在の本質を焙り出して見せた黒沢監督の力量が光る名作。
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