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タイトル名 |
サウンド・オブ・ミュージック |
レビュワー |
田吾作さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2018-07-11 14:05:44 |
変更日時 |
2018-07-11 16:28:44 |
レビュー内容 |
名作の呼び声高いことは知りつつも、長尺かつ「ただ主人公や子ども達が脳天気に歌いまくるミュージカル映画」 という先入観があったため、今に至るまで鑑賞の機会を逸していた。 しかし、鑑賞後は一転その浅はかさを悔やんだ。
まず冒頭の空撮からのオーストリアの素晴らしい風景、そして丘に立つマリアにクローズアップしての主題歌への流れは、 聞きしに勝る映画史に残る名シーン。 ストーリーは確かに予定調和的ではあるが、純粋で天真爛漫なマリアが音楽を通してトラップ家に影響を与えていくプロセスは、 わかっていても心惹かれる。
そして何と言っても、劇中歌のほとんどが耳に馴染みがあるナンバーばかりで、これらの楽曲がもつ力こそが、 本作を名作たらしめているのは疑いない。 鑑賞後も頭の中でリフレインするような不思議な魅力を持っている。
また、ジュリー・アンドリュース演じる外連味のない生き生きとしたマリアも、クリストファー・プラマー演じるトラップ大佐の豹変(笑)も、 観る者すべてを惹きつける魅力がある。
さらに、本作が不朽の名作たりえる理由として、背景がナチスドイツによるオーストリア併合という、戦争の暗雲がたちこめる時代であることがあげられる。 そのことが歌や音楽の持つ力をコントラストとして際立たせることに成功しており、ありがちなハッピーエンドにとどまっていないのだ。
男爵夫人や長女の恋人も含め、本作にはいわゆる悪人は登場しない。それぞれが時代の波に押し流されながらも、懸命に生きている姿が活写されており、暗い背景の割に後味がいい。
監督と役者、作曲家など、溢れる才能が結集して創られた傑作というのはそう易々と作れるものではないが、本作は紛れもなくそれにあたるだろう。
本作は、いつの時代においても、愛や音楽が人々の喜びであり希望であることを高らかに歌った人生の賛歌であり、 これからもずっと残っていくであろう不朽の名作である。 |
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