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タイトル名 |
トランス・ワールド |
レビュワー |
タコ太(ぺいぺい)さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2023-03-29 15:27:07 |
変更日時 |
2023-03-29 15:27:07 |
レビュー内容 |
低予算を逆手に取ってアイディア一発で勝負した佳作。数あるタイムパラドックス作品とはひと味違うプロットですね。予備知識なしで鑑賞することをお勧めします。
と言いつつ以下はネタバレ前提の感想です。
一種のソリッドシチュエーションスリラーである本作は、理由やプロセスは明示されないものの何らかの原因で4世代の親子が時を同じくして同じ空間に入り込んでしまっているという設定。否、ドイツ兵だけは空間的に閉じ込められてはいるものの始めからそこに居るわけなので入り込んだのは3世代ですね。
3世代について考える限り、一人ひとりにフォーカスすればタイムスリップと思えないこともないのですが、場所まで移動してしまっているので単純なタイプスリップではないことは確か。
つまりは、何か特別な力が作用してドイツ兵の時代と空間に3人が入り込み、同じ力によってドイツ兵も空間的にはその場所から移動出来なくなっている。つまり、彼の死の瞬間に特別な力が作用した結果なのですね。
そんな風に考えると贖罪の物語と言うか、宗教的な色彩を感じさせる物語でもあります。ただ、過去を変えることで未来に影響が生じてしまうという所謂タイムパラドクス的な解釈を加えているので、限りなくSF的に仕上がっている訳です。
複雑な絡み合いを巧みな演出や小物の活用で丁寧に纏め上げている。随所に見られるチープさを補って余りある出来栄えだと思います。
ただし、個人的には過去を変えれば未来も変わるという考え方(本作では存在の消滅でその効果を表現していますが)については少なからず懐疑的でして、過去を変えたと思っていても既に存在する未来は変わることなく、もう一つの未来が構成されるだけか、或いは既に存在する未来に連続する未来が再構築されるのではないかというパラレルワールド的発想を持っているので、物語の展開的には今ひとつスッキリはしませんでした。
強盗犯が変わっても諭し撃たれるガソスタの店主が天使で、相手を変えつつ襲って来る強盗男が悪魔、という解釈を元に宗教的に理解するのが自然なのかも知れません。 |
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