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タイトル名 |
東京家族 |
レビュワー |
ユーカラさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2013-02-11 23:55:20 |
変更日時 |
2013-02-12 00:09:53 |
レビュー内容 |
『息子』(1991)において、聾唖である和久井映見と永瀬正敏の間で交わされた FAXのやりとり。 そのやり取りには説話的な納得性と同時に、その手書き文字を秀逸な人物描写と する細やかな演出が施されていた。
対して、本作で蒼井優と妻夫木聡の間に交わされるメール文字の何と味気なく、 無意味な事か。観客は事態の推移を既に知っているのだから、 蒼井の表情変化なりを見せるだけで事は足りるわけで、 メール画面の文字は説話的にも無駄な二重説明でしかない。
一方では、妻夫木らの馴れ初めを写真一枚で物語らせるスマートさを持ちながら、 一方では上のような蛇足・無駄もあちらこちらに見受けられる。
または、『息子』でのコンロにかかったおでんの鍋のような、 簡素にして情緒豊かな小道具の類に欠けるのも寂しい。
作為性も露わに画面を賑わすエキストラ達は、 おそらくは山田流のリアリズムなのだろうが、蒼井と吉行和子が対話している奥で、 向かいの窓に姿を見せるアパート住人などはどうなのかと思う。 末っ子の部屋の開放性を以て彼の性格を演出したものとは思うが、 シーンの阻害要因となってはいないか。
貶しどころも多々あるのだが、俳優陣は文句無し。 高級ホテルの窓から見る観覧車の夜景シーンは本作オリジナルのイメージとして 印象深い。
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