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タイトル名 |
最前線物語 |
レビュワー |
ユーカラさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2009-11-02 21:18:31 |
変更日時 |
2009-11-03 18:34:16 |
レビュー内容 |
約2時間の劇場公開版も十分素晴らしいのだが、S・フラー監督の本来意図したと思われる約3時間のバージョン(スタジオによる再構築版)はカットされたショット・エピソードの大幅な復活と再編集によってさらに充実し、作品の深みを増している。元々が大戦中の断片的な挿話を積み重ねていくスタイルのドラマ構成にさらに複数のエピソードが追加された形だが、散漫になるどころか、逆に旧版では解りづらかった部分もより明瞭になり、「生き残る」という主題がより強烈に印象付けられるものとなっている。木陰で休憩する四銃士たちの会話。ドイツ側スパイとの攻防。『フルメタル・ジャケット』(1987)の先駆けともいえる古城での戦闘。リー・マーヴィンに花で飾ったヘルメットを少女が手渡す美しい場面の後に綴られていた残酷な顛末、、。埋もれていた印象深い断片の数々が加わることによって、戦闘/休息、大人/子供、悲惨/ユーモア、正常/異常、敵/味方、生/死といった諸相はさらに渾然とし、クライマックスである収容所の場面の静かな感動は間違いなく「短縮版」以上だ。
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