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タイトル名 |
スティング |
レビュワー |
どんぶり侍・剣道5級さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2005-09-14 20:50:47 |
変更日時 |
2005-09-14 21:10:19 |
レビュー内容 |
この映画は、【紙芝居】の形式で物語が展開していきます。これは一見、僕ら観客をガキ扱いしているかのように思ってしまいますが、実は我々の意識に対して、少しずつ少しずつ、【この映画はですね、脚本の通りに、お話が始まりますよ…】という刷り込みを与えています。手ごわい。かなり手ごわい。実に綿密に計算し尽くされています。素質がありながら堕落した生活で才能を埋もれさせているフッカーと、ルーサーの仇を誓う老練ヘンリー・ゴンドーフ。ストレート・ポーカーの一件でも分かる通り、才能だけでも十分勝てるはずの2人。しかしわざわざエキストラを揃え、確実にロネガンを仕留める段取りをする。なぜだ? なぜなんだ? その答えをつい考えてしまう時から、僕ら観客は製作スタッフのワナに、すでにハメられている。恐ろしい。非常に恐ろしい。まさにこの映画は内外を問わず、用意周到です。ロネガンという人物描写は実に人間の性を突いています。【エビでタイを釣る】とは、まさにこのこと。だましのテクニックをふんだんに使いこなし、ロネガンの強欲を心理的に最後の搾りカスまで全部あぶり出し、終盤のフッカーの苦悩ですら、ラストの伏線に全部つなげていく。ここまでトコトン【映画を作ってやろう】という気概に満ちた映画は観たことがありません。仇敵・ロネガンをだます映画だと思っていたら、本当のターゲットは、実は我々だったとは…! この映画を初見したとき、僕はだまされたことに気がつかず、だまされるシーンがあるたびに、20秒ぐらい、ポカーン…と放心状態でした。たぶん、この映画を超える犯罪映画は今後も生まれてこないと思います。他にも名作を作り上げながら、それらすら霞んでみえてしまう、この奇跡の名作を作り上げた、巨匠ジョージ・ロイ・ヒル監督に敬意を表して、10点満点、気持ちは100点満点献上します。 |
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