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タイトル名 |
処女の泉 |
レビュワー |
青観さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2008-04-20 12:07:55 |
変更日時 |
2016-10-04 20:14:59 |
レビュー内容 |
私には神の信仰など深いテーマについてはよく解りません。しかし、この映画はそういう難しいことを抜きにしても人間の持っているわがままな部分、惨酷さ、何の罪もない人がただただ己の欲望、身勝手さによって強姦された挙句に殺されるという惨酷さ、そんな惨酷な部分を描くこの何とも許せない話の中にあって、娘に代わって、また神様に代わって自分の娘を殺した男達を刑に処すというその気持ちは父親としての、また人間の持っている悲しさ、それは殺されたカーリンのことを嫌っていたもう一人の女、インゲリの同姓に対しての嫉妬、眼の前で三人の男に殺される場面をただ目撃することしか出来なかった彼女も一人の人間として苦しんでいる様子が観ていてもよく解る。人間とは如何に惨酷で弱い生きものか?という問いに応えているような本当に見ていても寒気のするような内容ではあるものの、画面全体の美しさ、白と黒とのコントラストの色使いの凄さ、カーリンが教会へと向う場面で馬に乗って行く場面のあの美しい映像美、途中で出会う男達に強姦される場面もその後の殺人シーンにしても殺された後に舞う雪も何かもが本当に美しい映像美として心に残るぐらい本当にどのシーンも美しい。男達への復讐を自らの手でやりとげた父親の見せる涙にこそ人間の持っている悲しい部分が現れてもいるそんな気がしてならない。ラスト、殺されたカーリンの死体を目にして神様は何て罪なんだというようなことを祈る人達、流れ出る水の美しさにはため息が零れる。どうしようもないぐらい観ていてもやりきれない気持ちにはなるので何度も繰り返し観たいとは思いませんが、これだけ人間の矛盾した気持ち、惨酷さ、欲望などを美しく描いた映画は他には観た記憶がない。とにかく一度、観たら忘れられないぐらいの美しさが惨酷な世界と相成って描かれていていつまでも心に残りそうです。 |
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