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タイトル名 |
リリイ・シュシュのすべて |
レビュワー |
承太郎さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2006-04-10 00:46:21 |
変更日時 |
2006-04-10 00:46:21 |
レビュー内容 |
14歳のころ、世界は狭く、ほんの小さな出来事にも翻弄されていた。陰湿ないじめが描かれているが、それにより浮き彫りにされているのは「どこにも逃げ場のない閉塞感」だ。自殺や殺人は絵空事ではなくいつそうなってもおかしくない「リアル」だったんだ。主人公・蓮見の唯一の逃げ場が「リリィシュシュ」という歌手。「リリィ」がどれほどすごいかを観客を知ることはできない。ネット上で語られる「リリィ論」はどれもあいまいで感覚的で薄っぺらだ。「リリィ」はマスコミなどによって作り出される一過性の偶像の象徴にも思える。そんな薄っぺらな「リリィ」に対して蓮見は「リリィだけがリアル」という。蓮見にはそんな薄っぺらな「リリィ」だけしかないのだ。それ以外のものは蓮見にとってリアルではないのだ。いじめる側の星野もまた「リリィ」だけに逃げ込んでいる。星野自身も追い詰められている点は同じで、そこから逃れようという気持ちが「他者への攻撃」となっている。いじめをしても星野はまったく救われていない。ネット上だけでふたりは分かりあっている。「リリィ」は久野から星野、星野から蓮見、そして蓮見から津田へと伝えられる。最後に「リリィ」にすがりついているのは津田と星野と蓮見の3人。久野が「リリィ」を聞くシーンはない。現実に対峙した久野には「リリィ」は必要ないということ。久野だけがこの映画の中の唯一の救い。。
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