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タイトル名 |
セルビアン・フィルム |
レビュワー |
映画の奴隷さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2022-08-04 15:17:34 |
変更日時 |
2022-08-04 15:17:34 |
レビュー内容 |
いやいやいやー…観てきたんだが……ついに。 本作品については、観たい思ってもBlu-rayもDVDも高くて買えず、ずーっと観れてなかった。 作品自体は2010年の制作なんで、再び4kに移行しつつ…新たに公開まで漕ぎつけたのはマジで驚嘆。 いや、スタッフさんらの行動や熱意は「マジで大したものだなー」と思う。
俺は……意外とアレ。 俗に言う「キワモノ」とか「グロい」映画は…かなぁり好きで、よぉぉぉぉぉく観る。 でも、スプラッターが好き!ってんじゃなく(まぁ、表現として有っても良いけど)人間の尊厳などに対して、何かが(特に人間が)凌辱する様に(何故か)神経を揺さぶられるので、そこの有無が大きなポイントとなる。
まず、閲覧に赴く前…少し体調が悪かったので「またにしようかな?」と思ったんだけど…もう、そろそろ上映も終わりそうなので強硬的に出発。
――そしたら、アレ。
人が多いわ~、大雨が降るわ~で、俺が「渋川剛気(By刃牙)」なら……「むぅ、この先…どんな化け物が待ってるんじゃ…」と躊躇してただろうな…いや、マジで。 その後はTSUTAYAに飛び込みBlu-rayを観ながら(雨でズボンがビッチャビチャだし)時間を潰しつつ…そのまま映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」に向かったんだ。 ここは10年くらい前かな?光宗薫の「女子カメラ(2012)」を観に来た思い出がある場所。
そして、映画の時間が来た!
この手の映画を観る際…いつも俺が留意している点は1つ。 映画として「手法が確立してなければ、幾ら話が素晴らしくても評価しない」って事。 そういう意味で語るなら、この作品はしっかりとしたスタッフが揃ってたと思うし…特に「カメラワーク」と「音響」が素晴らしいな、と感じたのを付け加えておく。
――世界各国で放映禁止をされた映画。 ――見た目の「物理的な不快感」か? ――それとも「心理的なタブー」なのか?
そんな感情を胸にして映画館の中に入った…。 ともあれ、今回のバージョンではモザイクなどの画面処理は極力考慮したと聞いたので、そこも期待。 いや、それって絶対大事なんだよね…俺的には。 あの名作「時計仕掛けのオレンジ」なんかでも、そのモザイクのせいでAV感が出ちゃうからね…。
確かに(多少悪趣味ではあるが)恐ろしい…っつーか、胸糞な映画だと思う。 意外だったのは、思った以上にスプラッターなシーンは無かったし、そこを売りにしてる映画でもないんだなーと把握。
――ただ、考える。
自分にとって大事なものを、誰かの手で「さも面白そうに破壊される」事が恐怖なんだな、と。 その恐怖ってのは、どこの国の人間も持っている事だろうし…少しばかり言い換えれば、そこを人は恐ろしく感じるだなーと思った。 恐ろしい、そして…ただ胸糞悪い。 何でもセルビアという国の成り立ちが、この映画のメタファーだと聞いたので、そこも調べてみようと思う。
だが、だ。 本音を言うと…俺はフツーに観れたんだよな…マジで。 確かに恐ろしいし、胸糞悪さ100%だけど…俺が生きてる「この世界」の方がよっぽど胸糞悪い。 例えば…苦い薬ってのはオブラートに包もうが(その場で)苦さを感じなかったとしても…本来の味は変化することなく体内に飲み込まれてゆく… そう、それは「薬」であろうが「毒」であろうが…オブラートに包んだまま飲まされ続けて、苦みがしないから気づいてないだけなんだ。
要は、全ての物事をリアルに感じて常に想定していれば…世の中ってのは栄光に包まれた素晴らしさの反面…例えようのない胸糞の悪い事なんか、幾らでも溢れて、ゴロゴロと転がっている。 細かい事件とか差異は兎も角として、俺はそういう世の中を生きてるお陰で「ああ、こういう不幸ってのもあるよな…」って、この映画をしっかりと受け止める事が出来た。
恐ろしい…気分が悪い。 そして、胸糞な感覚がこの上ない映画だった。
この―――セルビアン・フィルム。
二度と観たくない! その感情も人の評価だし…そうすりゃいい。
けど、俺は…避けては行かない。
俺は忘れないだろう。 そして、俺の人生でも「あり得る」と思って生きて行くしかない。 もし、同じ目に遭ったら…嫌で嫌で仕方ない。 絶対的に絶望してしまうが…それが世の中だからだ。
――悲しいか?
けど、後悔しないように、と願いながら… 今日も、明日も生きてゆくしかない。
人生ってのはそんなものだ。 |
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