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タイトル名 |
パニック・イン・スタジアム |
レビュワー |
Roxyさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2006-06-26 11:30:46 |
変更日時 |
2006-06-26 14:59:04 |
レビュー内容 |
10万人の観衆でごった返すスーパーボウルの競技場に,1人の男が忍び込んだ。素性の知れないその男の手には,高性能ライフルが……という設定は,物語としては手垢がついているのかもしれないが,本作ではサスペンスの盛り上げ方がとても秀逸で,無理がない。冒頭の,ホテルの窓からたまたま通りかかった自転車の男を射殺する場面では,これから何が始まるのかを観る者に予感させて,思わずぞっとする。犯人の姿はテレビカメラ,あるいはSWAT隊員のライフルスコープ越しでしか見えず,それも不鮮明に映るため,不気味さと恐ろしさは倍増である。それだけなら一本調子で終始しがちなところも,競技場を訪れた観客たちの人間模様を同時並行で見せることで,ストーリーに奥行きを持たせてある。サスペンス映画としても,アクション映画としてもよくできていると思った。なお,状況的にはSWATチームの負け。2名が殺され(1人が犯人に射殺されてロープで宙吊りになっても,試合に興奮する観客たちは背後にぶら下がる死体に気づかない),隊長も撃たれたのだから。仇を取ったのが,寄る年波を隠せないチャールトン・ヘストンというのが何だか反則のような気もするが,これは御大に花をもたせたというべきでしょう。SWAT隊長を演じたジョン・カサヴェテスのサングラス姿が渋い。最後まで正体不明だった犯人について言った,最後の台詞もまた渋い。「……奴のことはマスコミが全部調べてくれるさ。住んでいるところはどこで,仕事は何で,家には優しいママがいて,そして,それが終わったらまた次のニュースだ。でも俺たちは……」みたいな内容だった。兇悪犯罪へのやりきれなさが余韻となって残る。 《追記》1975年に公開されたTV映画「パニック・イン・テキサスタワー」を明らかに意識しています(昔,金曜ロードショーあたりで何度か放映)。あるいはモチーフを拝借したかもしれません。余談ですが,「パニック・イン・テキサスタワー」の無差別射殺犯は,当時まだ無名だったカート・ラッセルが演じていました。作中ではほとんど喋っていません。 |
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