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タイトル名 |
サルバドールの朝 |
レビュワー |
パブロン中毒さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2008-07-23 11:34:11 |
変更日時 |
2008-07-23 11:35:29 |
レビュー内容 |
これはとてもバランスの悪い作品ですね。 冒頭のクレジットに「圧制と闘った青年の実話」という決意表明がされているし、ラストのクレジットでも同様に「サルバはフランコ独裁政権下の犠牲者」という扱いになっています。作り手はサルバドールをヒーロー扱いしているはずなのです。 ところが、本編に入ると、サルバのやっていることは武装した銀行強盗ですね。銃で人を脅かしてお金を奪い取るという普通の犯罪だ。これは普通の青年である彼らには銃が無ければ絶対に不可能な行動ですが、銃を手に入れたことによって、いきなり不可能が可能になってしまう。そのことによって、彼らに無意味な全能感が生じていく様子がシビアに描かれている。 フランコがひどいので闘って倒そう→闘うには武器と軍資金が必要→フランコを倒すためなら強盗してもかまわない→俺たちの銀行強盗は犯罪ではなくレジスタンス、という、当時日本にもよくあったような論理でサルバ青年たちは行動していました。 サルバは死亡した警官について、最後まで何のコメントもしません。5~6発当たった中に、自分の撃った2発が入っていたかどうか、それが致命傷になったかどうか、全く気にしない。「ただ逃げたかったから撃っただけさ」というサラっとした言葉しか、彼の中には存在しない。その警官に家族が居たのかどうか、聞きもしない。 サルバは無実の罪で死刑になると思っている。…そうなんでしょうか。 無実というのは冤罪のことをいうのではないのか?それともサルバの銃弾が当たっていない場合のことを無実というのか?なんだか私にはこの映画の作り手のポリシーも、サルバや家族たちのポリシーも、はっきりいって理解できない。 サルバに罪の意識はゼロ、自分の家族の心配ばかりして、死亡した警官のことは無視、刑務所での態度は一貫して生意気。いつも人を見下した態度でいる。自分に同情してくれた刑務官にさえ、同等以上の態度を取り続ける。…私には単なる生意気なお坊ちゃんにしか見えないのだが。レジスタンスのヒーローとは思えないのだが。 フランコ独裁下のスペインを経験した人なら、サルバがヒーローに見えるのだろうか。私にはわからないが、前後のクレジットを見る限りでは、作り手はそのつもりで公開したんだろうなあ。極東日本で見るぶんにはドジった銀行強盗にしか見えないが。 |
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