みんなのシネマレビュー
未来のミライ - はあさんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 未来のミライ
レビュワー はあさん
点数 4点
投稿日時 2020-05-17 16:58:20
変更日時 2020-05-17 16:58:20
レビュー内容
本作公開の頃、その評判は良いとは言えなかった。主人公くんちゃんの可愛げのなさと、今後の細田作品における脚本家の必要性が幾人もの批評者から指摘されていたと思う。そしてアニメーションから心が離れ始めていた自分自身の事情と、上記の評価のため食指が動かず、結局、劇場へは足を運ばなかった。

今回ようやく視聴したのは、昨年TV放送されたものの録画だ。

大まかに言えば、本作は、意外な来訪者――女子高生(?)に成長した、未来の未来ちゃん――などの関与によって、4歳の主人公”くんちゃん”がそれまでの小さくてどこかぎこちない日常から、大きな世界を見ることで、自身が成長する物語なのだろう。

中盤で、くんちゃんが若かりし頃のひいじいじとバイクで疾走するシーンは、戦後当時を彷彿とさせる映像的解放感が出ていて良かった。また、終盤、成長した未来ちゃんとくんちゃんが空を軽やかに飛翔しながら、様々な時代や別世界を観望するシーンには映像的快感があった。クライマックスとしての盛り上がりは確かに感じた。

こういったいいシーンもあるのだが、残念ながら、本作には大きな欠点がある。こういったヤマ場へ行くまでの段取りが非常に悪いことだ。ヤマ場にたどり着くまでの精神的苦痛が大きすぎるのである。それはキャラクターへの嫌悪感と不自然感によるものだ。

主人公くんちゃんは4歳ということで、それらしいわがままさが描かれているのだが、その描写がエキセントリック過ぎるのだ。
まずは、生後、新しく家に来た妹の赤ちゃん、未来ちゃんに嫉妬してちょっかいをかけるのは分からないではないが、嫉妬が強すぎておもちゃを投げようとするのはやり過ぎだ。いくらアニメとはいえ、赤ちゃんというデリケートな存在を壊そうとする、観ているこちらの心の奥底をドキッとさせる描写はいかがなものだろうか。
未来ちゃんの方を大事にし、自分を中心に見てくれない両親に「嫌い!」「嫌い!」と、やたらネガティブな言葉をぶつけるのもリアルかもしれない。だが、それも必要以上に繰り返されると、観ているこちらはイライラしてくる。気分が悪くなってくるのだ。顔を赤くして大声で泣きわめく描写も不快だ。
監督は子供をわがままなものと捉えているのだろうし、わがままな部分以外の、日常での子供の存在そのものを可愛さとして感じているのかもしれない。それでも、僕にとっては描写が辛口過ぎた。僕はもう少し甘めのさじ加減が好きだ。本作でも自転車の練習をするくんちゃんにアドバイスしたり、自転車に乗れるようになったくんちゃんに遊ぼうと言ってくれた子供がいたが、あれくらいの(リアルではないかもしれない)優しさがくんちゃんにも欲しかったし、自分ではいかがなものかと思いながらも、ここが本作で最も心が和むシーンとなった。

くんちゃんの不自然感も気になった。まずは声。先ほど書いた自転車のシーンの子供の声の方がよっぽどリアルで心地良かったし、キャスティングに何かしらの裏事情まで感じてしまった。それから「さびしかったよ~」などの、自身の気持ちを端的に分かりやすく発した言葉の数々。いずれも大人びていて、とても4歳には思えない。子供の感情って、一言では言い表せない、もっとモヤモヤしたものなのではないだろうか。

両親の描写も好きになれない。やたら自己主張が強い母親と、気弱で芯の通っていない父親。恋愛結婚のようだし、結婚して数年経っているはずだが、それにしてはよそよそしいし会話にトゲがある。育児が大変だから母親がツンツンしているとこちらに感じてほしいのかもしれないが、そういった描写の少なさからとてもそうは思えない。二人の精神的距離が離れているように感じられる。
終盤に描かれる両親の成長も、日常生活の一つと捉えればリアルかもしれないが、本作が映像作品ということから考えると、くんちゃんの体験や成長とリンクしていないのは不満だ。

ところで考えてみると、くんちゃんのわがままで大人びた描写というのは、中学生くらいの視聴者にとっては憧れなのではないだろうか。言いたいことが言えるし、それに自覚的でいられる快感が伴うのだ。
今や世界的に注目される細田監督作品としては寂しいが、本作のメインターゲットは中学生くらいまでなのかもしれない。
もう少しターゲットを広く、そして上に引き上げる作品作りをした方がいいのではないか。それには、物語を紡げると同時に、作品を客観視できる脚本家の存在は必須であろう。

アニメーション映像作家としての細田監督のセンスと実力に敬意を表しながらも、今回は、その素晴らしさゆえに甘めの評価をした前作『バケモノの子』よりは辛口の点数とする。
はあ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-10-28踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!64.34点
容疑者 室井慎次34.29点
2024-10-27踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!65.00点
2024-10-27踊る大捜査線 THE MOVIE75.33点
2024-07-05ルックバック77.85点
2024-04-08流れる67.78点
2024-04-06すずめの戸締まり66.49点
2023-10-08ミステリと言う勿れ87.11点
2023-07-19君たちはどう生きるか(2023)85.87点
2023-03-27シン・仮面ライダー85.46点
未来のミライのレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS