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タイトル名 |
ダージリン急行 |
レビュワー |
目隠シストさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2016-12-31 23:59:59 |
変更日時 |
2018-10-26 22:40:21 |
レビュー内容 |
序盤は意外と退屈しました。淡々と進む『真っ当なロードムービー』の様相。でもこれがウェス・アンダーソン監督の“リズム”であり“やり口”。案の定、3人のイカれ具合が露見していくに連れ、画面に釘付けになりました。結果的には今回も、監督の“センス”に見事にノックアウトされた格好です。京都修学旅行で木刀を求めるが如き感覚でのキング・コブラ購入、高級ベルトの執拗なやり取り、包帯をとったら普通に痛々しい顔など、思わず腹を抱えるネタ要素に加え、ビル・マーレイの無駄遣い、すぎむらしんいちが描きそうな瞳大きく唇厚い小顔客室乗務員の美女ぶりにも痺れましたが、やはりウェス・アンダーソン作品最大の魅力は、観客の予想の斜め上を行く脚本の出鱈目さ(失礼)でしょうか。コメディで子供を死なせる必要があったのかと。でも人生をきちんと描くのであれば人の死を禁忌とするのはかえって不自然なこと。事件、事故、病気。思うように行かぬ人の寿命。普段意識せずとも、死は常に私たちの隣に居ます。父の死、助けられなかった子供の命。2つの死と、母親の(愛ある?)身勝手さを目の当たりにして、3兄弟は悟ったのでしょう。何せ人生観が変わる異国の地NO.1のインドですから(完全な思い込み)。そう、“家族の絆”は美しく大切ですが、執着しても仕方がありません。全ては流れのままに。だから最後、ダージリン急行という名の人生の列車に乗るために、彼らは余計な荷物を捨てたと。うん、納得出来ます。共感します。何が幸せかは、実はとってもあやふやなこと。母が虎に食われずに生きている。息子が生まれる。それだけでどれほど幸せなことか。彼らは確かに成長しました。ただし、シガラミは捨てても、ホイットマンブラザーズは、もう少し常識を身に着けた方が良いとは思いますが。 |
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