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タイトル名 |
MAMA(2013) |
レビュワー |
目隠シストさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2023-09-11 18:20:51 |
変更日時 |
2023-09-11 18:29:32 |
レビュー内容 |
結末に言及しています。未見の方はご注意ください。
端的に言うなら『狼少女ジェーン』(ガラスの仮面より)のオカルトホラー仕立て。描写の中に近代ジャパニーズホラーの礎とも言うべき『リング』から「指さし男」が引用されていたのが感慨深いです。ゴッホの作品に浮世絵が登場するような誇らしさとでも言いましょうか。これはパクリではなく「オマージュ」でよろしいんですよね。 私は冒頭オカルトホラーと書きましたが、ヒューマンドラマとしてつくり込まれており「ダークファンタジー」にカテゴライズする方が適切かもしれません。何といっても『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロが製作総指揮ですから。終盤の救出劇には手に汗握り、ぐいぐい引き込まれました。展開もまさしく『リング』さながら。はじめは寝転んで眺めていましたが途中から正座です。「助けてやってくれ」「見逃してくれ」と何度も心の中で叫びましたが願い届かず。観終えた直後は相当滅入ったものの、冷静になれば納得の結末と言わざるを得ません。「もし・あの時・ああしていれば」が見当たらないのです。そう自分に言い聞かせています。 大量のさくらんぼの種が意味すること、視線の使い方、キーアイテム「メガネ」の役割など、ツボを心得た演出が冴え渡り好印象。ママの造形は怪物に寄り過ぎていた気もしますが、「亡霊の子育て」という設定上おどろおどろしい見た目でなくてはいけなかったのでしょう。最期の瞬間、怨念から解き放たれ穏やかな表情であったのがせめてもの救いでしょうか。2人の子どもは本当に可愛かったです。ずっと「私は行かない」としか言わなかったお姉ちゃんの気持ちが胸を抉ります。妹にはどうしても「行くな」と言えなかったのですよね。姉妹にとって亡霊は母親に違いなく、行先が地獄と分かっていたとしても一緒に居たいと願うのが子ども心。姉は妹の気持ちを尊重したのです。姉妹で明暗を分けたのは人間社会との繋がりの差。「メガネ一つ分」の違いでありました。 タイトルといいビジュアルイメージといいあまりぱっとしませんが、こんなところに傑作が隠れていたとは驚きです。福引で一等賞を当てた気分。覚悟のいる物語ではありますが、皆さんにお勧めします。 |
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