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タイトル名 |
トンネル 闇に鎖(とざ)された男 |
レビュワー |
目隠シストさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2024-12-19 20:31:31 |
変更日時 |
2024-12-19 20:31:31 |
レビュー内容 |
トンネル崩落事故で生き埋め。必要最低限の前フリのみで、すぐさま本題に入るのは有難い。サバイバルアイテムは500mlの水2本とバースデイケーキ、スマホ、懐中電灯くらい。展開らしい展開は無く、じっと耐え忍ぶ時間が大半を占めました。サバイバルの観点で言及されていたのは「水」と「食料」でしたが、この2つだけでは命を繋ぎ止められません。「空気」そして「明かり」はどうでしょう。地中とはいえ密閉されていないのなら窒息は大丈夫?問題は「明かり」でした。暗闇の中で正気を保つために欠かせない要素であり、光無くしては3日と持たなかったでしょう。車載バッテリーが大容量で懐中電灯が高機能だったとしても30日以上の耐久性は疑わしい。何時までも消えない明かりに違和感が消えませんでした。これは物語を楽しむ上で不要な懸念。例えばトンネル設備の非常灯がたまたま点いていた程度の奇跡に文句を言う観客は居ないでしょう。物語を成立させる上でも、リアリティを担保する上でも、そしてドラマに集中させるためにも、必要な「ご都合主義」は迷わず使えばいいと考えます。さらにスマホについて。通信手段はまさに命綱でした。当然バッテリーには限りがある訳で、切れた後の意思疎通策を講じていなかった時点で詰んでいます。スマホの充電池が切れた時点で主人公の命運も尽きたのです。にも拘わらず奇跡の生還を遂げたのは偏に「救助システムの機能不全を個の力で打開したから」に他なりません。まるでサッカーの解説者のような口ぶりですが、救助隊長の実直な人柄には素直に感動しました。地面に落ちた目玉焼きを笑って食べてくれた作業員も然り。一部人でなしも交じっていたものの、概ね救助隊員の質は高く、彼らのような優秀な人材がこの現場に配属されたのが最大の奇跡だったと言えそうです。 同類のサバイバル映画と比較した場合、生き残るための苦渋の決断にドラマがある『127時間』の方が見応えがありますし、限定的な状況下で幾つもの展開を披露した『フォール』の方がエンターテイメントとして優れていると感じます。そう、サバイバル映画としての出来はいまひとつ。ただ報道や政府に対する社会風刺のキレ味は良く、人物造形も魅力的です。個人的にはペ・ドゥナを久しぶりに観られて嬉しかったですし。総評としては「トンネル崩落事故生き埋めという刺激的な題材を、サバイバル方面で掘り下げず、社会風刺に落とし込んだことの是非」になりましょうか。このアプローチを否定する気はありませんが、個人的な好みを言えば真っ当なサバイバル映画を観たかったという気がします。 |
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