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誓いの休暇(1959) - stroheimさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 誓いの休暇(1959)
レビュワー stroheimさん
点数 9点
投稿日時 2006-09-24 12:31:27
変更日時 2006-09-24 12:31:27
レビュー内容
片足の悩める男を妻に引き合わせ、偶然頼まれただけの石鹸を律儀に届け、列車で居合わせた家族を救う。母に会い、屋根を修理するための折角の休暇を往路で出会った人々に振りまき、優しさを浪費するアリョーシャ。だが彼にとってそれらは浪費ではなく、後悔する対象でもないだろう。彼はそういう人間なのだ。善意を意識せずに果たしてしまう青年。戦車がすぐ傍に迫り、砲弾の雨にさらされていても、仲間に退却を告げてからしか逃げ出せない。挙句に戦車に追われ、時間に追われ、無自覚のまま英雄と呼ばれるに至る、そんな男の子なのだ。 彼はそれを語らない。黙って石鹸の宛名を書き換え、母親にも途中で寄っただけだから時間がないと話す。 だからこそ唯一実時間で彼と行動を共にし、アリョーシャという人生を間近で感じたシューラの存在は大きい。軍服を着せられ二人が乗り込んだ軍用列車の窓から見える青空の美しさ。頻繁に心情描写を託される空という風景であるが、これ程までの素晴らしさは唯一の経験である。 6日もの休暇を与える将軍も、密航を軽く見逃す鬼のような中尉も魅力的だが、何と言ってもこの作品はアリョーシャ。その人生なのだ。
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