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タイトル名 |
欲望(1966) |
レビュワー |
stroheimさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2006-04-15 15:03:10 |
変更日時 |
2006-04-15 15:03:10 |
レビュー内容 |
まず、衣装・セット・女性のずば抜けたセンス。そしてカメラワーク。人の目で見ているような息遣いを感じる動と、斜めからフィックスで撮る静のカメラが非常に印象的だった。話はというと、公園で撮った写真を引きのばしていくと殺人現場らしきものが写っていたというもの。こう聞くとサスペンスのようだが、けして違う。それは衝撃的なシーンで合えて効果音や音楽を排除していることからも顕著である。この作品は、人間がその一瞬一瞬に見たこと・感じたこと・思ったことの儚くたゆたっている不確実さを映像化したもの。女には飽きたと言いながらもセックスをするその姿も、ライブハウスから出ればごみ同然となるぶっ壊されたギターも、ひどく気に入って即買いしたプロペラも全てこの象徴であり、その空ろさ故に、その感覚を他者と共有することは限りなく不可能だという真実を示している。出来事は他者にとってはある種全てが虚構であり、何が存在していて何が存在していないのかは問題ではないということが最後のパントマイムテニスにもよく表現されている。気分屋で気難しい写真家という繊細な役柄を見事にこなした演技、混沌とした中から少しずつ形を成してくる抽象画のように、引きのばした粒子の粗い写真から何かを見出すというプロット構成を高く評価したい。 |
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