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タイトル名 |
第9地区 |
レビュワー |
θさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2010-09-09 00:58:48 |
変更日時 |
2010-09-09 00:58:48 |
レビュー内容 |
衝撃作。冒頭の疑似ドキュメンタリータッチから、一転ありそうなアクション・サスペンスへの転換、そして人間(エイリアン?)ドラマなど、流し方は鉄板でありながら微妙にテイストが違ってうまい。しかし120分の展開が「エイリアン殺さなきゃ→エイリアンを殺すのはいいことなのか」という心の葛藤系かと思っていたので、このアクション映画的な展開はいい意味で予想外だった。
■とりあえず最初の方は「あのエイリアンとは、かわいそうだけど一緒にやっていくのは難しいなぁ」という印象を徹底して与える。だが中盤から、主人公が追われる身となり、守ってくれるのがエイリアンのみとなる辺りから、急にエイリアンの悲哀と優しさが見え、エイリアンへの愛情と感情移入もされてくる。この見せ方は本当にうまい。 脱出のために20年かけてたったあれだけの量しかない液体を集めるって、それだけ考えても相当な執念でしょ。それを主人公に無にされても、殺すわけでもなく諦めて次の収容所への移住を考える。主人公が身を捨ててエイリアンの脱出を助ける終盤もいいけど、個人的には「自分たちの星に帰りたい」という息子を、父親が「無理なんだよ」といって諭すシーンが一番物悲しく思えた。
■エイリアンは人間なのか動物なのか、という話があったが、サインさせなければいけないところなどは「法的には人間=事実は人間と同等」ということであろう。しかし、事実が人間と同等だからこそ、意識の上ではなおのこと「こいつらは動物」という蔑みが強化される。おそらく黒人差別の頃も「黒人=下等生物」認識はあったと思う。以前は黒人の「ペット」的なものがいたらしいし、『アーロン収容所』では、白人女性が日本人捕虜のいる部屋で平然と着替え始めた(=日本人は人ではなく犬とかと同等の認識をしている)ということが書かれていたが、それと同じだろう。
■ところで、「コミュニケーションできる」ってのはすさまじく友好関係を築く上で重要なんだなぁと思った。他のエイリアンに感情移入できないのは彼らがただ「襲う」だけの存在だったからであり、あのエイリアンに共感できたのは彼が主人公といろいろと話し、ゆえに理解し合えたからであろう。話さなければわかりあえない。 |
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