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タイトル名 |
善き人のためのソナタ |
レビュワー |
ケ66軍曹さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2007-09-23 01:53:19 |
変更日時 |
2015-07-29 14:35:43 |
レビュー内容 |
静かな雰囲気の中淡々と、そして非常に丁寧に登場人物の心情を描いています。まるで小説を読んでるようでした。クリスタの女優としての道をとるか、恋人との愛を取るかの葛藤。そして最終的に愛を捨ててしまった時の心情。ドライマンがラストあえて声を掛けずに違う方法で彼に礼を述べたこと・・語りたいことは沢山ありますが、その中でも特筆すべき点はやはりウルリッヒ・ミューエ演じるヴィースラーの心情の移り変わりの描き方が本当に丁寧なことです。ドライマンが弾いた「善き人のためのソナタ」を聴くシーンから本当に少しずつヴィースラーの心情、考えが変わって行きます。完璧な社会主義者の彼が他人の生活(Das Leben der Anderen)の中で何を感じていったのか・・・そして変わり行く中であの東ドイツを見て何を思ったのか・・・それらが観ている自分に、じわじわと伝わってきました。ラストシーン、ドライマンからの礼を受け取りうっすらと笑みを浮かべたヴィースラーの表情がとても印象的で忘れられません。派手な演出は一切ありません、地味な演出がそっと心の琴線に触れます そういう心情を見事に表現したウルリッヒ・ミューエの演技にも注目していただきたい。ヴィースラーの心情の殆どを彼が、その演技で、その表情で表現してくれています。彼自身旧東ドイツの出身で当時の妻に行動を密告されていたという過去があったそうです、あの迫真の演技が出来た理由は実際にあの時代をあの場所で生きた。そんな実体験があったからなのでしょうか。良い役者に出会えたな、と思ったら胃癌のため急逝されたそうで・・・、御冥福をお祈り致します。 |
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